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じいちゃんとの約束を果たす トラディショナル柚子こしょう有限会社川津食品 [ 大分県日田市 ]

  • カテゴリ
  • 柚子
  • 調味料

祖父からの教えを受け継いだ3代目が、創業から変わらない製法を守りながらつくる最高の柚子こしょう。シンプルだからこそ素材選びや作り手の技術が試される逸品は、大手企業からも選ばれています。「柚子こしょうを日本一の調味料に」という目標を実現するために、伝統と革新を重ねながら進化を続けています。

代表取締役社長 川津峰之さん

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家庭の味が全国へ。柚子こしょうの知名度アップに貢献した小さな企業

柚子こしょうといえば、大分県民にとってはなじみのある調味料。このおいしさを全国の人にも知ってほしいと周知拡大に尽力した企業のひとつが、『有限会社川津食品』です。

「大学を卒業後、特にやりたいこともなくて()。ひとまず親を安心させようと思って地元に帰ることにしました」。当時は継ぐつもりはなかったという3代目の川津峰之社長。祖父である先代・英美さんが小さな規模でつくっていた柚子こしょうは、いわば家庭の味としての要素が強い調味料でした。

今ほどの知名度はなかったものの、柚子こしょうが全国のメディアで取り上げられることも少しずつ増えはじめました。その状況をとらえ、「時代が必ず来る!」と思ったという川津社長は、本格的に手伝いをするようになりました。しかし、完全なレシピがあるわけでもなければ、手取り足取り教えてくれるわけでもない。祖父とはいえ、師匠と弟子のような関係性の中で、職人技ともいえる技術を見ながら覚えていく日々だったそうです。

柚子こしょうをしっかりと広めていく環境を整えるために有限会社を設立。その後、東京の展示会での出店をきっかけに大きな取引が決まり、「柚子こしょうを全国へ」という夢が着実に近づいてきました。

平成24年に閉校した旧赤石小学校を工場に。徹底した品質管理で、安心・安全を追求している。

1本1500円の最高級品「約束の柚子こしょう 柚子殿」が多くのファンを獲得

祖父の英美さんの魂を受け継いだ者に与えられる称号、“柚子殿(ゆずどん)”。川津家の柚子こしょうを守りながら伝統をつないでいくと同時に、本物を伝承する使命も課されます。

三代目柚子殿となった川津社長が生み出したのが『約束の柚子こしょう 柚子殿』です。この商品が生まれたのは、先代が病床に伏していたころでした。「じいちゃんが教えてくれたやり方で、最高の素材を見極めて、とんでもなく高級な柚子こしょうをつくってみようか!?」。ベッドの横で川津社長が語りかけると、ニコッと笑ったという先代。「またコイツは無茶なことを…という表情にも見えましたが、やってみなさいと背中を押してくれたようにも感じたんです」。柚子を知り尽くし、本物を追求してきた先代の背中を見てきた川津社長だからこそ、素材の目利き力はすでに備わっていました。先代との最後の約束が、商品としてカタチになったのです。

製造するのは夏と冬の年に2回だけ。驚くべきは、製造に携わるのは川津社長だけだということ。「神棚に手を合わせ、祝詞をあげて、仏壇に手を合わせて、ふんどし一丁で行水してから工場に入るんです」という気合の入りようを聞いても、この商品にかける並々ならぬ覚悟を感じます。「うちの商品はどれも本物を追求したものばかりですから、それ以上においしいものをつくらないといけないという責任を感じます」。

香りや味を見極めながら、先代からの教えと自身の感覚を頼りにていねいに調合していく。

その年に一番良い生育状態の柚子を厳選。柚子こしょうの命ともいえる“香り”を重視し、自身の基準をクリアしたものだけを集めます。同じ産地でも毎年香りが絶妙に変わるそうで、素材選びは川津社長の感覚が試される作業です。

収穫時期の異なる青柚子と黄柚子の2種類をブレンドすることで、一口目には清涼感、二口目にはさらに深い香りが追いかけてきます。ペーストと粗ずりの中間くらいの絶妙な粒感を残し、舌触りの良さを追求。先代から学んだ調合によって、最高レベルの香りと味を引き出すのですが、その作業も感覚そのもの。目で見て、鼻で香りを感じて…職人技によって、究極の逸品ができあがります。

最高級ランクの柚子こしょうだからこそ、高級感のあるパッケージにもこだわりました。美しい木箱の蓋には、一筆一筆川津社長が自ら筆入れした“柚子殿”の文字が重厚感をもたらします。ひとつ1500円と決して安くはありませんが、全国で唯一卸売をしている横浜の酒店と自社の会員にのみ予約販売。最初は年間500個の販売でしたが、2024年には夏冬あわせて7000個が完売しました。

小石原焼きからヒントを得たという木箱。

高級感あふれるパッケージで、ギフトとしての需要も高い。

プライドをかけた逸品。柚子こしょうの進化系「柚子椪酢(ぽん酢)」が誕生

常に攻めの姿勢を忘れない川津社長が、「日本一うまい柚子ぽん酢をつくりたい」と、試行錯誤の末に誕生させたのが、「柚子殿謹製 柚子椪酢(ぽん酢)」です。これも川津社長が一人でつくるため、製造は2か月に一度だけという特別な商品です。

「世の中にあるぽん酢と比べて、一番おいしいものができなければ発売しない」と、強い覚悟で開発に挑んだ商品。青柚子と黄柚子の果汁を黄金バランスでブレンドし、そこに大分県産のかぼす果汁を加え、あえて雑味をプラス。これによって、柚子の香りがさらに引き立つのだそうです。自社に搾汁設備があるので、非加熱での製造ができるのも強み。柚子本来のはじけるような香りがしっかりと感じられます。

他にも、選び抜いた本醸造醤油、北海道の根昆布だしと、こだわりの素材だけで作る自信作。新たな看板商品として、多くのファンを獲得しています。

湯豆腐に、白身魚に、焼肉・しゃぶしゃぶに。酸味がまろやかなので万能に使える。川津社長の一押しは卵かけごはん。

先代の教えを守りながら、納得のいく進化をさせていきたい

「もっと喜んでもらえる商品づくりをしていきたい」と、自社の成長はもちろんですが、川津社長の言葉からは、同じ柚子こしょうをつくる企業や、生産者と一緒になって本物の柚子こしょうを広めたいという思いが伝わってきます。「山間部の小さな地域だけで使われていたものが、わさびやからしと肩を並べつつある。これって奇跡みたいなものですよ」と話す笑顔の裏にはきっと苦労や失敗もあったはずですが、「全国へ発信するという使命を自分から買って出たんですから。楽しみながら使命を果たしたいですね」と、さらなる進化を誓います。

伝統を守りながらも、商品や会社の価値を高めるために、「ストーリーのある商品づくりをしていきたい」と川津社長。小さなまちから、本物の柚子こしょうを全国へつたえるために、物語は続きます。

講演会活動も積極的に行なっている川津社長。講演テーマのひとつは、「日本一を目指して、ド田舎からのチャレンジ!」

有限会社川津食品

PROFILE

設立年月
昭和36年創業・平成16年有限会社設立
代表取締役
代表取締役社長:川津峰之
事業内容
柚子胡椒・唐辛子加工食品の製造仕入れ販売、商品開発依頼、PB商品、OEM対応

CONTACT

住所
大分県日田市前津江町赤石108番地
TEL
0973-53-2501
メール
info@yuzu-kosyo.jp
HP
https://www.yuzu-kosyo.jp/

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