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株式会社ヤマジン
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株式会社ヤマジン-干されてますが…脂のってます宣言 株式会社ヤマジン-干されてますが…脂のってます宣言

刺身にできる魚を加工新鮮だから干しても旨い!株式会社ヤマジン [ 大分県佐伯市 ]

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  • 水産食料品

干物加工を行う『ヤマジン』は、戦後間も無く佐伯市米水津で創業しました。漁業が盛んな地域で創業したからこそ、目利きの確かさには自信があります。創業当時からこだわるのは、刺身でも食べられる鮮度のいい魚を使うこと。創業から80年近く経った今もその思いを引き継ぎ、3代目を継いだ山田仁志社長と弟の隆司専務が力を合わせ、時代に合わせた味や商品の開発、環境問題にも積極的に取り組んでいます。

代表取締役社長 山田仁志(さとし)さん

代表取締役社長 山田仁志(さとし)さん

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目利きに自信あり鮮度には徹底的にこだわる

創業の地である米水津は、漁業と養殖業が盛んな佐伯市の中でも、古くから魚種が豊富なことで知られている港。「近場で新鮮な魚を集められる」というのが創業の大きな理由です。

漁師は近海で漁をし、獲った魚をすぐに氷に浸けたり神経を抜いて締めます。そして保冷され、米水津の港に到着するのは数時間後。釣り上げて間もないものばかりなので、当然鮮度の良さは抜群です。代々の社長はもちろん、そんな米水津で育った山田社長や専務も、水揚げされた瞬間の新鮮な魚を見ることで鮮度や魚の質の良さを見極める目を培ってきました。
そんな確かな目利きで選ばれた、鮮度抜群の刺身で食べられるほど新鮮な魚を使った干物作りを続けています。

アジの開きや丸干し、シシャモなど定番の人気商品のほか、100%地元産のカマスを使った干物も。骨まで丸ごと使った佐伯特産の「ごまだし」は、市内の給食にも使用

アジの開きや丸干し、シシャモなど定番の人気商品のほか、100%地元産のカマスを使った干物も。骨まで丸ごと使った佐伯特産の「ごまだし」は、市内の給食にも使用

(左)専務取締役 山田隆司さん、(右)代表取締役社長 山田仁志(さとし)さん

(左)専務取締役 山田隆司さん、(右)代表取締役社長 山田仁志(さとし)さん

口に入るものだから何よりも安全性を重視する

ただ、近年は米水津で水揚げされる魚は減り、地元で獲れた魚をメインに使うことはできなくなってきました。それでも、最も重視しているのは鮮度。

脂のノリや肉厚さなど、干物に向いた魚が水揚げされる場所を厳選した結果、現在取引が多いのは佐賀や長崎、福岡の市場。それぞれの市場の信頼関係を築いた仲買さんから、毎日早朝から連絡が届きます。長崎は4時ごろから、福岡からは深夜の2時半ごろから「『今から競ります。鮮度はこういう感じです』って、電話があるんですよ。中には『皮の脂はこんな感じです』と、脂ののりや鮮度のわかる写真を送ってくれる仲買さんもいるんですよ」。アジの場合は、鮮度が良いと内臓を取ったときに黒い薄皮が残るのだとか。それも、写真があれば社長自身の目で見極めることが可能に。毎朝の綿密なやりとりの中で、仕入れる魚を選んでいきます。

「仲買さんの目利きを信用してお任せすることもできるんですが、僕としては、毎日やり取りすることである程度目線を合わせておきたいんです」。この“目線を合わせる”ことが、「いかに美味しい干物にするか」ということに加え、安全性の判断にもつながっていきます。「どちらかが『鮮度が怖い』と思ったら、きちっと引くこと。『値段に釣られない』っていうことは、とても大事だと思っています。人の口に入るものだから鮮度は怖がらないといけないんですよ」。

シシャモは海外からの仕入れています。アイスランドやノルウェーでの仕入れは、隆司専務の担当。1カ月近くかけ、仕入れ先を回っているそう

シシャモは海外からの仕入れています。アイスランドやノルウェーでの仕入れは、隆司専務の担当。1カ月近くかけ、仕入れ先を回っているそう

釣りが大好き。早くから家業に従事し、魚の扱いや加工、目利きにも大きな信頼を寄せる弟、隆司専務と

釣りが大好き。早くから家業に従事し、魚の扱いや加工、目利きにも大きな信頼を寄せる弟、隆司専務と

鮮度と安全性のため自社の冷凍庫で徹底管理

仕入れた魚は、競り落とした現地の市場ですぐに冷凍。輸送時間が短いとしてもほぼ全てを冷凍して運び、その後は自社冷凍庫で管理しています。自社で冷凍庫を持つとコストはかかりますが、全てに目が行き届く管理を徹底するため、自社での保管にこだわっています。

水揚げされた魚を冷凍してから加工することで、食中毒のリスクも軽減。アレルギー症状の原因にもなる、動物の組織に存在する化学物質「ヒスタミン」を抑えることにも繋がります。「新鮮なうちに冷凍したものの方が、圧倒的に痛みづらくなるんです。お客さんに健康被害が出る確率を考えると、これからは原料の冷凍は必須になってくると思っています」。近年ニュースなどで取り上げられることが増えてきたアニサキスも、マイナス20度以下で24時間冷凍すると死滅するため、『ヤマジン』ではどんなに新鮮な魚も一度冷凍をして加工するようにしています。安全性第一。これが、食品を作る会社の責任だと感じているからです。

出来上がった製品はもちろん、冷凍して仕入れた原料の魚も自社の冷蔵庫、冷凍庫で保存

出来上がった製品はもちろん、冷凍して仕入れた原料の魚も自社の冷蔵庫、冷凍庫で保存

鮮度のいいものを仕入れることと同じくらい、品質を保った管理にもこだわっています

鮮度のいいものを仕入れることと同じくらい、品質を保った管理にもこだわっています

消費者の好みの変化にもいち早く対応

「刺身にできる鮮度のものを加工する」という基本姿勢は創業時のままですが、味や食感などは消費者の好みに合わせて変えています。元々干物は、魚を日持ちさせる為にできた手法。「だから昔の干物はもうちょっと硬かったし、もうちょっと塩辛かった。意外かもしれませんが、脂もそこまでのってなかったんですよ」。しかし、現在のお客さんが好む干物は、ソフト感があり、脂がのっていて、薄味。
各家庭に冷蔵庫や冷凍庫があり、輸送スピードが格段に上がり、「冷蔵」や「冷凍」での販売も可能になった今では、ソフトな食感の販売も当たり前に。脂がのっていて柔らかな食感の美味しい干物も、販売可能になりました。冷蔵や冷凍ができることで、減塩化も進んでいます。

味が柔らかく骨が気にならないシシャモは、人気の干物の1つ。仕入れ先は日々変わりますが、「いつ食べてもおいしい」干物作りを続けています

味が柔らかく骨が気にならないシシャモは、人気の干物の1つ。仕入れ先は日々変わりますが、「いつ食べてもおいしい」干物作りを続けています

将来を見据え持続可能な社会の実現へ一歩ずつ

数年前からは、サスティナブルな商品作りにも取り組みはじめました。ストローに挿して販売していた丸干しを、ストローレスのパッケージに変更。出荷のための包材としてなくてはならない段ボールも、CO2排出量の少ないものに変えました。積極的にアピールしてはいませんが、「SDGsに向けて何か取り組んでいることは?」と聞かれた際にもすぐに数値として提出ができるよう、取り組みを進めています。

実は、干物加工では魚が「ゴミ」となることがありません。加工の際に取り除いた内臓やエラ、鱗などの“加工残渣”と呼ばれる部位も、養殖の魚たちの餌などになるためです。「最終的は魚たちが食べることになるので、うちではこまめに冷蔵庫で保管しています」と社長。魚を残さず使い切る、食べ切ることで、ゴミの削減にもつながっています。

美味しい魚が獲れる海を守るためにも、包材も環境に配慮したものに変更する取り組みを進めています

美味しい魚が獲れる海を守るためにも、包材も環境に配慮したものに変更する取り組みを進めています

出荷のための包材としてなくてはならない段ボールも、CO2排出量の少ないものに変更

出荷のための包材としてなくてはならない段ボールも、CO2排出量の少ないものに変更

「おいしい」こそが「また買いたい」につながる

「せっかく手を伸ばして買ってくれた干物が『美味しくない』となれば、『もう干物を買うのはやめよう』になってしまう。だからこそ、『美味しい』と思ってもらえる商品作りを第一に考えます」と社長。
『ヤマジン』の干物をよく購入する客からは、「いつ食べても外れがないね」という言葉をもらうことも多いとか。「僕らには、それが褒め言葉なんです」と社長。干物は加工度が低いだけに原料が命。品質や味の8割が原料と原料管理で決まってしまうとも言われています。毎日違う魚を加工する中で品質を均一に保つことは難題ですが、乾燥の時間、塩水に漬ける時間、日々微妙に変化させながら、安定した美味しさを保っています。

素材や製法にこだわった高級商品を作ることは簡単です。しかし干物は、昔から一般家庭の食卓に何気なく並んでいたもの。だからこそ、「買い求めやすい価格」にもこだわり続けます。いつ食べてもおいいしい干物を、食卓に。そんな当たり前をこの先ずっと続けるために、今日もまだ暗い深夜から魚の目利きを続けています。

「いいことも悪いことも、お客さんからのフィードバックは僕らにとってのチャンス。日々の試行錯誤の参考にしています」

「いいことも悪いことも、お客さんからのフィードバックは僕らにとってのチャンス。日々の試行錯誤の参考にしています」

株式会社ヤマジン

株式会社ヤマジン

PROFILE

設立年月
1953年6月
代表取締役
山田 仁志(さとし)
事業内容
水産加工業

CONTACT

住所
大分県佐伯市米水津大字色利浦字関網1808-7
TEL
0972-36-7044
FAX
0972-36-7043
メール
yamajin@bronze.ocn.ne.jp
HP
http://himonoya-yamajin.jp/

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