健康をカタチに、想いを未来へ。
挑戦する乳業メーカー九州乳業株式会社 [ 大分県大分市 ]
- カテゴリ
- 清涼飲料
- 茶•コーヒー•酒類飲料製造
- その他食品関連事業
安全・安心を第一に、新しい可能性に挑み続ける乳業メーカー。主力のみどり牛乳をはじめとした多彩な“みどりブランド”を展開するほか、大分県内の学校給食牛乳の大部分を担うなど、地域に欠かせない存在として親しまれている。 現在は直売所やポップアップストア、キッチンカーなどを通じて乳製品の普及やフードロス削減にも注力。他企業とのタイアップも積極的に進め、さまざまな方向から乳製品の可能性を切り拓いている。
取締役 営業本部長 内野 公浩さん
九州を中心に親しまれている「みどりブランド」
大分県内では乳製品において圧倒的シェア率を誇る『九州乳業』は、主力のみどり牛乳をはじめ、豆乳製品やアーモンドミルク、ヨーグルトなど多彩な“みどりブランド”を展開しています。さらに、学校給食に提供される牛乳の大部分を担っており、大分県民なら「知らない人はいない」と言っても過言ではありません。
そんな同社は昭和39年の設立以来、幾多の変化を経験しながら平成25年に「新・九州乳業」として再スタート。伝統を守りながらも、常に新しい挑戦を続けています。
「おかげさまで九州、特に大分と福岡では広く認知していただけるようになりました。PBやOEMのご依頼も多く、県内にお住まいの方であれば一度は当社の製品を口にしたことがあるのではないでしょうか」そう話すのは取締役 営業本部長の内野さん。
乳製品は鮮度が求められるため地場流通が中心ですが、ロングライフ商品(常温で長期間保存可能)の設備を導入して以降、販路は九州外にも広がりつつあります。
大分や福岡のスーパーではお馴染みの「みどり牛乳」。2024年の牛乳類(金額ベース)のシェア率は大分県で52%、九州でも18%を誇ります。
通常、牛乳の賞味期限はチルドで15日程度ですが、ロングライフの商品は常温で90日。容器の工夫と滅菌処理によって賞味期限を延ばしており、栄養価や味は変わりません。
健康をキーワードに、さまざまな商品を開発
九州乳業が創業時から一貫して掲げてきたテーマが 「健康」。近年は、牛乳に加え、豆乳やアーモンドミルクといった植物性原料を使ったデイリーフリーの商品開発にも注力しています。
「当社は“1本の牛乳からお客様の健康に役立てる企業”を目指して創業しました。その思いは61年間、変わることなく受け継がれています。もちろん、美味しくなければ飲んでもらえませんから、味の追求も欠かせません。例えば、豆乳。昭和中期から給食に出されていましたが、“美味しくない”というイメージが根強くて…。当社はそのイメージを払拭すべく、飲みやすさ、美味しさにこだわり、ヒット商品へとつなげることができました。」
グループ会社のみどり食品(のちに吸収合併)で豆腐を製造していた背景もあり、早くから豆乳製品の製造に取り組んできた同社。昭和51年に「みどり豆乳」を発売して以来、第一次・第二次豆乳ブームの追い風も受け、着実に売り上げを伸ばしてきました。現在は主力のみどり牛乳に次ぐ人気シリーズへと成長しています。
ほかにも機能性表示食品などさまざまな商品の開発を行っていますが、既存商品の需要が高く、新商品用の製造ラインを確保できないのが課題。今後は工場・設備の拡充を視野に入れ、「求められる商品を確実に届ける」体制づくりを目指しています。
すっきり飲みやすい豆乳
健康志向の女性を中心に需要が増えているアーモンドミルク
N-1乳酸菌を使用したヨーグルトなど健康志向に応える商品が充実。
フードロス削減を目的に、工場直売所をオープン
2021年10月には九州乳業本社工場敷地内に「みどり工場直売所」を開設。乳製品・豆乳・植物性ミルク・ヨーグルト・デザートなどがお手頃価格でずらりと並び、週末には行列ができるほど人気を博しています。
「フードロスを減らすために、賞味期限が近いものや余剰生産分、訳あり商品(少し形が崩れた豆腐など)をアウトレット価格で販売しています。私たちも驚くほど好評で、乳製品の普及や企業価値向上にもつながっていると感じています。今では新商品のサンプリングなども行い、お客様の声やニーズを直接キャッチできる場としても機能するようになりました。」
工場の生産状況によって品揃えは日替わり。その日ならではのラインアップという“特別感”に加え、新鮮な牛乳で作るソフトクリームや、牛乳に合うものを追求して生まれた揚げパンなどオリジナルグルメも楽しめるとあって、リピーターが後を絶えません。
オープン以来、年々売り上げを伸ばしている直売所。周囲は緑豊かな公園として整備され、地域住民の憩いの場としても活用されています。
直売所にディスカウント価格で並ぶ「みどりブランド」の数々。目玉商品や人気商品はすぐに売り切れてしまいます。
令和7年5月〜9月には、「もっと多くの人にみどりブランド、ひいては乳製品の魅力を知ってもらいたい」と大分市中央町に直売所のポップアップストアをオープン。
街中という好立地もあり、郊外にある直営店には通いづらい高校生をはじめ、幅広い層で賑わいました。終了時は「続けてほしい」と惜しむ声もたくさん寄せられたといいます。
さらに、ソフトクリームを中心に販売するキッチンカーもイベントなどに引っ張りだこ。現在は1台のみですが、増台を検討中です。
フードロス削減に加えて、客層拡大やみどりブランドの認知向上など、さまざまな効果を生んでいる直売所やキッチンカー。県内外から出店やコラボ(後述)の要望も多く、全国展開を目指す九州乳業にとって、大きな可能性を秘めた事業であることは間違いありません。
お土産にも人気のオリジナルグッズ
直売所にはオリジナルグッズやお土産がたくさん
企業コラボで、新たな可能性を見出す
九州乳業は他社とのコラボレーションも積極的に行っています。大手食品メーカーや菓子メーカー、コンビニとの共同企画、牛乳のパッケージを活用した企業広告、直売所での協働などその形は多彩で、いずれも好評を博しています。
取材時(8月)に実施していたのは、牛乳によく合う大塚製薬の「カロリーメイト」×九州乳業の「みどり牛乳」の「こころとからだの栄養キャンペーン」。
両商品を購入すると抽選で多彩なプレゼントが当たる企画で、双方の健康イメージの浸透、ブランド価値向上につながりました。
令和7年7月〜8月に九州地区限定で実施された大塚製薬とのコラボ「こころとからだの栄養キャンペーン」。
「ありがたいことに、多方面からお声掛けをいただいています。牛乳に限らず、乳製品と考えれば組み合わせは無限大。たとえばチーズとソーセージ、ヨーグルトとフルーツなど、相性の良い組み合わせは数えきれません。今後も積極的に提案していきたいと考えています。ご興味のある方はぜひ一度ご相談ください。」
現在、直売所でも地元企業や東京の企業とのコラボレーションの話が進行中。今後も県内外を問わず積極的に取り組み、乳製品の新たな可能性を追求していきたいといいます。
健康飲料の開発、直売店やポップアップストア、キッチンカー、そして他社とのコラボレーションと、多彩な取り組みを進める九州乳業ですが、一番大切にしているのは「お客様に安心・安全な商品を届けること」です。
「外部の協力も得ながら、工程管理、衛生管理には細心の注意を払い、製造ラインごとにSQF (HACCPに基づく、国際認証規格)の取得も進めています。もちろん、人材育成も必要不可欠です。どれほど仕組みを整えても、最終的に担うのは“人”ですから。職場環境を整え、意識改革を促し、改善を重ねながら品質を追求していきたいと考えています。」
全てにおいて決して現状に満足することなく、挑み続ける九州乳業。今後も“酪農家が365日、大切に育てる乳牛のミルクを、何ひとつ無駄にはせず、心をこめた製品とし、お客様のもとへお届けする”という使命を果たしながら、健康を支える乳業メーカーとして、時代に合った新しい価値を創造し続けてくれるはずです。
工程管理・衛生管理を徹底した工場。国際規格に基づく管理体制で、品質と安全を支えています。
九州乳業株式会社
九州乳業株式会社
PROFILE
- 設立年月
- 平成25年4月
- 代表取締役
- 檜垣 周作
- 事業内容
- 牛乳・乳製品・はっ酵乳・デザート等の製造、販売
CONTACT
- 住所
- 大分県大分市大字廻栖野3231番地
- TEL
- 097-586-4135
- FAX
- 097-586-4136
- メール
- contact@kyusyu-nyugyo.co.jp
- HP
- https://kyusyu-nyugyo.co.jp

