伝統と進化を重ねながら食肉業界のクレスト(頂)へ。株式会社ミートクレスト［大分県大分市］

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畜産食料品

大分県産牛を中心に、県外の牛肉・豚肉・鶏肉の精肉や加工品を多数取り扱い。原料の調達、加工、販売までを一貫管理していることから、さまざまなニーズに応じた柔軟な提案も可能です。熟練の目利きによって厳選した品質と鮮度の高い肉であることを重視しながら、大分県産肉の普及にも尽力しています。

代表取締役社長　清田浩徳さん

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家畜商としての原点を大切に。

ミートクレストの前身｢清田産業株式会社｣の創業は1872年(明治5年)。｢神戸、横浜、長崎など、当時外国人居留地だったところで肉屋が誕生したのは理解できるけど、なぜ大分で？と、同業者の方からよく訪ねられます。大分には隠れキリシタンが多く、滋養をつける目的で薬の代わりに家畜を食する文化(薬食い)があったのではないか、と言われているそうです｣と教えてくれたのは、5代目社長の清田浩徳さん。

初代が家畜商として牛や馬を農家から買い集め、それを食肉用に処理する事業をスタートしたことが同社の歴史のはじまりでした。真相は定かではありませんが、大分県内で食肉文化が広まるきっかけとして、清田家の事業が関わっていたのかもしれません。
その後、3代目(戦前～戦後頃)までは創業当時と同様に、牛・豚・鶏を扱う家畜商として食肉業界を支えてきました。大分市中心部に数軒の店舗を構え、一般の人にも肉を食する習慣が広まっていきます。『帝国陸海軍御用達』として、軍隊に食肉を納めるという名誉も獲得。残念ながら、空襲によって大分市内にあった店舗は喪失してしまいましたが、家畜商としての原点は、現代にまで根強く守られてきました。

初代が家畜商として牛や馬を農家から買い集め、それを食肉用に処理する事業をスタート。3代目までは同様に、牛・豚・鶏を扱う家畜商として食肉業界を支えてきた

生産者の顔が見える肉だけを扱う。

同社では、豊後牛やおおいた和牛などの県産牛肉を中心に、県外や海外の牛肉・豚肉・鶏肉を取り扱っています。種類豊富な肉を取り扱う食肉業者へと成長した今、創業から変わらずに大切にしているのは、“どんな生産者が育てているのか、どんな環境で育てられた家畜なのか”まで見極めること。そのため、生産者のもとへ定期的に足を運び、実際に家畜が育つ環境を見て、トータルで納得のいくものだけを仕入れています。

｢良質な肉をつくろうという思いを持つ生産者さんは、現状に満足せず常に研究をされています。そんな生産者が手がける家畜は、ストレスがない環境でのびのびと育っていることが一目でわかりますし、肉質もいいんです｣(清田社長)。家畜商としての実績と経験をもとに、プロとしての厳しい目利きによって選び抜いた肉は、肉質やおいしさはもちろん、鮮度にもとことんこだわっています。

プロとしての厳しい目利きによって選び抜いた肉は、肉質やおいしさはもちろん、鮮度にもとことんこだわっている

『お肉に、新たな命を吹き込む仕事』を表現する加工品の展開。

時代の流れとともに食のスタイルも多様化するなかで、｢素材(肉)を売るだけでは限界を感じていました｣(清田社長)と、加工品の製造・販売をスタートしました。グループ会社である薩摩ハム株式会社(鹿児島市)にて、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工品を製造。
大分の本社工場でも、ローストビーフ用、レトルトパウチに使用するカレー用肉やミートソース用肉など、各企業からのニーズに合わせた加工をおこなっているほか、ハンバーグ、チャーシュー、チキン南蛮など、家庭で簡単に調理ができる加工肉も続々と誕生しています。

｢消費者の食卓にもっと気軽に取り入れられる商品を｣という考えと同時にあるのが、｢いただいた命を無駄にしない｣という思い。｢商品に新たな命を吹き込むくらいの気持ちを持って商品づくりをすれば、きっとお客さまにも通じると思うんです。だからこそ、全ての部位を丁寧に扱い、商品として価値のあるものを生み出していきたい｣と話す清田社長。そのためには、｢若手や他業種などの視点は、これまでの食肉業界の常識にとらわれない視点だからおもしろいんですよ｣と、新たな挑戦にも前向きです。『お肉に、新たな命を吹き込む仕事』を社是とし、多様な商品展開によって、業界のクレスト(頂)を追い求めています。

ローストビーフ用、レトルトパウチに使用するカレー用肉やミートソース用肉など、各企業からのニーズに合わせた加工をおこなっている

ハンバーグ、チャーシュー、チキン南蛮など、家庭で簡単に調理ができる加工肉も続々と誕生

消費者との距離をより近くすることで、『高品質で低価格』を実現

同社の精肉や加工品は、大分県内のスーパーなどに納入されています。2021年７月にオープンした、精肉や鮮魚を扱う『海と山のマーケットKAEDEYA』(大分市高松東)での販売もはじめました。直売のため、鮮度の高い肉を低価格で提供することができたり、市場で目にする機会の少ない希少部位の限定販売をしたりという取り組みが、多くの消費者に喜ばれています。

これまでは卸売業という性質上、消費者との直接のつながりが少なかった同社にとって、反応や意見を直に聞くことができる機会が増えたことは、商品開発において貴重な情報収集の場にもなっています。
より多くの声に応えるべく、来春にはオンラインショップの開設も予定されていて、消費者との強いつながりによって、さらに商品の展開が増えそうです。

同社の精肉や加工品は、大分県内のスーパーなどに納入されている

安心・安全を、当たり前に届けるために。

高品質な肉を提供するうえで、人材育成や衛生管理の徹底も欠かせません。スタッフは、『お肉博士』の全員1級取得を目標に、食肉業界に関わるプロフェッショナルとしての専門知識を高めています。
また、2018年には本社工場ではISO22000を取得。｢パートさんも含めて、社員全員がISOとは何か、安心・安全を提供するために何をしなければいけないのかを共通認識として持つこと｣を重視しています。さらに、機械化が進む工場での作業においても、必ず人の目でのチェックを欠かさずに品質管理を徹底。
特に、仕入れた段階の肉は形が全て異なるため、細心の注意を払いながら加工が行われています。｢口に直接入れるものを製造している企業としての責任。安心して召し上がってくださいと自信をもっておすすめできる商品を提供したい｣。清田社長の思いは会社全体の思いとして浸透しています。

｢働くみんなが幸せになれる環境が整えばやりがいが生まれ、自ずと企業の力になるはずです｣と笑顔で話す清田社長には、“小さくとも筋肉質な会社にしたい”という強い信念があります。ぶれない軸を企業の力にして食肉業界を牽引し、全国・世界へと誇る大分県産肉の素晴らしさを発信し続けます。