豊後大野市のめぐみを、柔軟な発想で国内外へ発信株式会社 豊後大野クラスター [ 大分県豊後大野市 ]
- カテゴリ
- 缶詰等保存食料品
- 農産物加工
豊かな土壌に恵まれ、農産物が豊富に採れる大分県豊後大野市。加工業をメインとしながら農業にも参入し、「産地から即加工」を実現。作り手の思いをたっぷり込めた農作物を旬のうちに急速冷凍や乾燥を通じて長期保存することで、一年を通して安定した供給量を確保しています。
代表取締役 後藤龍彦さん
あらゆるニーズに対応する技術で、大分を代表する加工業者に
会社を構えるのは、周囲に畑が広がるのどかな場所。大手製パン業者がパン等の具材を製造する工場として使われていた大型施設が撤退することになり、そのままにされている姿を見て、「地元のために役立てられないか」と考えた社⻑の後藤龍彦さん。工場を譲り受け数人の仲間と共に、平成 23 年(2011 年)に、地元のおいしい農作物を加工する会社「豊後大野クラスター」を設立しました。
社名の“クラスター”とは、ぶどうのように粒が実って、房になった状態を指します。独立した 1 粒が集合して 1 つの房になる…これは創業当時に打ち立てた 6 つの理念(農産物の振興、地場製造業の強化、特産品の開発・ブランド化、農商工連携のモデル、若者の雇用確保、地域経済の活性化)を表しているそうです。「地方が持つこの 6 つの粒=6つの課題について、それぞれ独立して成⻑しながらも、一体となることで強いコミュニティビジネスとして確立させる。その先頭に立つことが、私たちの担うべき基本的な役割だと思っています」。
加工業者として注目を集めはじめたのは設立から 6 年目、経済産業省の『農商工連携事
業』の認定を受けたことでした。東京や大阪で開催される展示会に出展する機会が増え、販路が拡大していったといいます。食品企業会の協力も得ながら、地元豊後大野市の人たちにも周知されるようになり、現在では地元産野菜の冷凍保存、カット・ペースト加工、乾燥保存など、農作物の加工に関するあらゆるニーズに対応できる企業として全国の大手食品メーカーからも商談が舞い込むようになりました。
他社とのコラボ商品も増え、県内では、ふるさと納税の商品として『おおいた和牛』製造販売者と自社製のカット野菜をセットにした『冷凍すき焼きセット』を販売中。近年の家食ブームも重なり、売り上げを伸ばしています。
サツマイモは自社で栽培
農業にも参入!作り手の立場で「もったいない」の心を加工に生かす
数多くの食材を揃えるために欠かせないのが契約農家の存在です。後藤社⻑は農家を訪ね、交流を深めることを大切にしてきました。「生育状況とか、次は何が採れそうとか、現地に足を運んだからこそ知ることも多いですし、何より農家の皆さんとお話することでたくさんのヒントをもらえるんです(後藤社⻑)」。
例えば、人気商品として子どもからお年寄りまで親しまれている自社製品の『ちょび』は、廃棄になってしまう小さな芋を皮ごと調理した干し芋で、自宅用のおやつとして古くから食べられていた家庭の味。
後藤社⻑は一口食べてその美味しさに感動し、商品化に至ったそう。創業当初からの思いだった「もったいないの心を加工に生かす」という精神が形になりました。
多くの農家のみなさんと交流しているうち、「作り手の気持ちがわからなければいい商品
は開発できない」と、4 年前に豊後大野市の認定農業者としての申請を行いました。「あるときは加工業者、あるときは農業者。2 つの顔を持っているんです」と笑顔の後藤社⻑。
自社でサツマイモ(べにはるか)とトウガラシを栽培し、乾燥や粉末加工まで一貫管理をしています。
べにはるかは冷凍技術を生かして“冷凍焼きいも”として出荷、トウガラシは粉末加工技術を生かして京都の唐辛子専門店と契約を結ぶなど、幅広いニーズに応える“加工技術の自由度”をフル活用しています。
また全農おおいた、JAおおいたと共同し、大分県の代表的ブランド「甘太くん」冷凍焼き芋の商品開発を2016年より進めています。今期は新しい大型のトンネルコンベクションを導入し、30トンの「甘太くん」冷凍焼き芋の焼成加工を含め50トン以上の製造を予定しています。「甘太くん」は関西地区で大人気を博しており、東京でも認知されてはじめています。
加工業だけではなく、農業にもチャレンジ
採れたてのサツマイモ
自社で栽培しているトウガラシ
仕事の“おもしろみ”を大切に。時代をとらえながら海外へも進出。
冷凍焼きいもが全国へニーズを拡大しはじめた時期を同じくして、JA 全農おおいたから海外への輸出話が提案されました。豊後大野市でとれるサツマイモの特徴は、甘さが強くねっとりとした食感。その特徴が好まれる国として注目したのが、ベトナムのホーチミンです。日本食材を扱う現地のスーパーに JA の商品として出したところ瞬く間に人気になり、今年7月には 2 トンもの量を出荷。「商売としても本当にありがたい話ですが、大分県産品が海外で人気になったという事実に、仕事のおもしろさを感じました」。仕事をする上で後藤社⻑が大切にしているという“おもしろきこと”。大分県食材を広めるために良いと思うものは何でも取り入れながら、自分たちが楽しめる仕事をする―。枠にとらわれない姿勢を大切にしているからこそ、他社からの要望に最大限応えられる企業として、ニーズを伸ばしています。次の目標は、自社商品を海外で販売することで、すでに開発に着手しているといいます。
「ベトナムはサツマイモ市場が黎明期の今がチャンス。私たちのような小さな企業が先駆けとして海外で勝負できるのがおもしろい(後藤社⻑)」。軌道に乗ってきた今でも、原点は「地元への貢献」。豊後大野市を、さらに大分県を牽引する存在として、“おもしろい”挑戦は続きます。
豊後大野市でとれるサツマイモがベトナムのホーチミンでも人気に
株式会社 豊後大野クラスター
PROFILE
- 設立年月
- 2011年7月
- 代表取締役
- 後藤 龍彦
- 事業内容
- 農産物の生産、集荷、加工、保管、販売、輸出、輸入 等
CONTACT
- 住所
- 大分県豊後大野市三重町宮野4845番地
- TEL
- 0974-22-0772
- FAX
- 0974-22-0752
- HP
- http://b-cluster.jp/