大分ニラを余すところなく元気に、笑顔になる加工品を株式会社ハヤミ産業 [ 大分県大分市 ]
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大分を代表する農産物『ニラ』の産地でつくられている加工品は、日頃から生産者とのつながりがあるからこそ気づいた「もったいない」の気持ちと、生まれ育った地元へ貢献したいという思いから誕生しました。青果とは異なる角度から大分ニラの魅力を伝えるツールのひとつとして、全国へと広まりつつあります。
代表取締役社長 柴田和己さん
生まれ育った地元に貢献するために。
ニラの一大産地として知られる大分県は、県民のソウルフード『にら豚』が全国的な知名度を獲得してきたことからも、大分の特産物として少しずつ浸透しています。「ニラは奈良時代から存在し、主に薬草として親しまれてきました。食事に取り入れるようになったのは明治時代だったそうです」と教えてくれた柴田社長。
同社が事務所を構える種具地区をはじめ、近隣の川添・宮河内地区にはニラの農家が現在20軒ほどあり、県内でも有数の生産量を誇る地域だそうです。柴田社長はこの地域で生まれ育ったことから、ニラ畑が広がる風景は昔から見てきたなじみの景色。「小さい頃は、イタズラをして農家のおじちゃんに怒られたりもしましたよ(笑)」と、幼少期の思い出を聞かせてくれました。
同社事業のひとつ『みのりん事業』で製造・販売を行っている植物活性剤『みのりん』は、焼酎を製造する工程で発生する焼酎廃液を利用した製品。「工場用資材を取り扱う企業ということで、廃液の処理に困っていると声がかかりました。焼酎廃液には酵母菌が含まれていて、その栄養価が植物に良いのではないかと思ったんです」。幼少期の思い出に加えて、農作物に関係する製品を扱うようになり、地元生産者とのつながりもさらに強くなっていきました。
同社が事務所を構える種具地区をはじめ、近隣の川添・宮河内地区にはニラの農家が現在20軒ほどあり、県内でも有数の生産量を誇る地域
工業用品を扱う企業が食品加工品をつくるきっかけは「もったいない」。
ニラのおいしさや歴史、魅力について話してくれた柴田社長ですが、同社の主力事業と食品加工は全く異なる分野の話。一見すると関わりのない企業が、ニラを使った食品加工品の製造に着手したのは今から10年前のことです。
ニラは青果として出荷する場合、サイズや形を揃えるために規格外のものは土に還されるそうです。また年に7~8回収穫できますが、1番最初に生育した葉は堅いため、青果としてはほとんど出荷されないといいます。「規格外も、堅いものも、茎も、調理すればおいしく食べられるのに、もったいないと思いました。加工品にできれば農家に還元できるのではないかと思ったんです」。ニラ栽培が盛んな地で生まれ育ち、ニラ農家と長年関わってきたからこそ気付いた現状。地元農家を盛り上げたいという気持ちも重なり、新たな事業へのチャレンジがはじまりました。
発酵しているニラはかなり珍しい
おいしさ+栄養価で大分ニラの魅力度アップ。
高齢化などを理由に、最盛期に比べると生産量が減っている現状も目の当たりにしていた柴田社長。「生産者や、地域に恩返ししたいという思いが一番ですね」と、ニラのおいしさを伝えたいという思いは当然のことながら、ニラがなぜおすすめしたい食材なのかをふまえて魅力を発信したいという強い思いがありました。そのために考えたのが、『栄養価の数値化』です。
ニラにはβカロテンやビタミンC、葉酸、食物繊維などがバランスよく含まれていて、特に殺菌作用や抗酸化作用のある“アリシン”を含む野菜としても注目されていることは周知されていますが、「大分のニラにはアリシンの元になるアリインが多く含まれていることがわかったんです」と新たな発見がありました。専門の研究機関に依頼して“体に良い”を数値化し、自信をもっておすすめできるエビデンスを取得しました。
大分のニラにはアリシンの元になるアリインが多く含まれていることがわかった
『安心・安全・おいしい』を第一に、笑顔で元気になれる商品を。
加工品の開発には、さまざまな困難もあったといいます。特に苦戦したのは、ニラ特有の香りです。栄養価の高さから、できるだけストレートに摂取できるものをと最初に開発したのは『ニラ茶』でしたが、「ファンもいたんですが、匂いが気になるという声が多く、好き嫌いが分かれる商品でしたね」。
食欲をそそるニラ特有の香りを生かしながらも、おいしく食べられる加工品をと研究を重ねた結果、さまざまな商品が誕生しました。『にら甘酢煮』は、ニラの茎だけを使って甘酢で煮た一品で、甘酸っぱい味わいとシャキシャキの食感がカレーに合うと好評です。豊後水道で水揚げされたちりめんと合わせた『にらちりめん』、味噌と合わせた『にら味噌』など、ごはんのおともにぴったりの商品。
調味料には、フンドーキンやユワキヤ醤油など大分県を代表する企業のものを使い、大分だからつくれる一品に仕上げました。製造は一部機械化しているものの、最後は地元のお母さんたちが手仕上げをします。加工品の誕生は、雇用の創出にもつながっているそうです。
好き嫌いが分かれる商品『ニラ茶』
ごはんのおともにぴったりの『にら甘酢煮』、『にらちりめん』、『にら味噌』
製造は一部機械化しているものの、最後は地元のお母さんたちが手仕上げをします
可能性は無限大!さらなる研究で商品数を増やしたい。
「おいしいものはできたので、次は“体に良い”をもっとPRできるものをつくりたいですね」。素材をパウダー化する機械をはじめ、カット、真空パック、殺菌、パッケージなど自社加工できるさまざまな設備を活用し、新商品の開発にも力を入れています。
柴田社長は陸上競技選手であったことから、今でも地元スポーツ大会などに関わっているそうで、「例えば地元スポーツチームの選手に飲んでもらえるドリンクなんかもいいですね」と、地元貢献、地元活性化の手段になる加工品づくりに尽力したいと話します。県内外の人が大分ニラを知るきっかけになるような加工品の開発によって、大分ニラのさらなる知名度アップへ。農家と消費者の架け橋となるため、日々研究を続けています。
素材をパウダー化する機械をはじめ、カット、真空パック、殺菌、パッケージなど自社加工できるさまざまな設備を活用し、新商品の開発にも力を入れています
株式会社ハヤミ産業
PROFILE
- 設立年月
- 1981年3月
- 代表取締役
- 柴田 和己
- 事業内容
- 【みのりん事業】
天然由来の植物活性剤「みのりん」の製造販売
【水事業】
微酸性電解水「ピュアリー」製造販売、ウォータサーバ「さららいと」代理店
【輸入資材事業】
工業用資材の輸入販売
CONTACT
- 住所
- 大分県大分市種具1092-1
- TEL
- 097-535-8180
- FAX
- 097-535-8185
- メール
- hayami-nf@arrow.ocn.ne.jp
- HP
- http://www.hayami-sg.com/