伝統製法でつくり続ける 「地元の家庭の味」を支える醤油有限会社 二反田醤油店中津工場 [ 大分県中津市 ]
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昔ながらの『天然醸造製法』にこだわってつくられる醤油をはじめ、味噌や出汁などを製造・販売。業界では機械化により効率化が進む中、あえて手間暇のかかる製法によって2年以上の歳月を経て食卓に届けられる醤油は、地元の家庭の味として定着。ドレッシングやソースなど、醤油をベースにした加工品にも力を入れています。
代表取締役 二反田新一さん(写真左)、二反田 圭佑さん(写真右)
創業から変わらない『天然醸造』を貫く醤油づくり
こだわりは、大正8年の創業から変わらない天然醸造でつくること。「手間も時間もかかるし、道具も創業から使っているものだから古くてメンテナンスも大変。でも、創業者である先代からの遺言みたいなものなんですよ」と、変わらない製法を守り抜く理由を話す代表取締役で3代目の二反田新一さん。
材料となる大豆や小麦などの厳選した素材から麹をつくり、発酵させて寝かせてから商品として出荷されるまで、最低でも2年をかけてつくられるこだわりの醤油。毎年春と秋に仕込み、週に一度の撹拌(かくはん)を繰り返しながら、季節に応じた管理方法を徹底。発酵と熟成を繰り返してできあがる醤油の原料となる“もろみ”は、よりおいしさが増すといいます。
「特に気温が上がる夏を2回過ごさないともろみの発酵が完了せず、十分なうまみが引き出せません」(二反田社長/写真左)。徹底した管理体制と代々伝わる熟練の職人技により、昔から変わらない味をつくり続けています。
地元を中心に、おとなりの福岡県でも、“おふくろの味”として、二反田醤油店の醤油を代々使い続けている家庭も多いといいます。一口に醤油といってもその種類はさまざまで、二反田醤油店では約20種類を製造・販売しています。
中でも看板商品の『Classic』シリーズは、創業から変わらないおいしさで人気のこいくち醤油『ほまれ』、甘さが特徴の『さつき』、濃厚甘口の『さしみ醤油』など全6種類をラインナップ。
また、大分県産丸大豆と小麦に限定してつくる『三年完熟醤油』は、その商品名のとおり、通常2年でできあがる醤油を3年かけてつくるこだわりの一品です。
深いコクやまろやかなうまみ、独特の香ばしさが特徴で、FOODEX JAPAN2014のご当地味噌・醤油グランプリで最高金賞を受賞。熟成に時間がかかるため生産量こそ多くはありませんが、根強いファンが多いといいます。
こだわりは、大正8年の創業から変わらない天然醸造でつくること
徹底した管理体制と代々伝わる熟練の職人技により、昔から変わらない味をつくり続けている
看板商品の『Classic』シリーズ。創業から変わらないおいしさで人気のこいくち醤油『ほまれ』、甘さが特徴の『さつき』
大分県産丸大豆と小麦に限定してつくる『三年完熟醤油』
こだわりの醤油をベースにした加工品を展開
一般のスーパーで簡単に醤油が手に入るようになった現代、専門店へ足を運んで買うという習慣は減少傾向にあります。二反田醤油店でもスーパーや道の駅、全国の百貨店の贈答品など広い販路をもっていますが、その製造量は年々減っているそうです。「若い人にも気軽に手にとってもらえるような、うちでしか作れない特徴のある商品を」という思いから開発をはじめたのが、豊富なラインナップを誇る加工品です。
最初に商品化に至ったのは2代目が開発した「かぼす醤油」。その醤油加工品を皮切りに、3代目がかぼす、バジル、大葉、ねぎなど、大分県内各地の名産品を使ったドレッシングを次々と開発。これまで来店機会のなかった新規客や若い層が店を訪れるきっかけにつながっています。さらには、からあげにかけるから揚げ専用ソース、柚胡椒や生姜のソース、黒酢、にんにくや根昆布などを使った香味醤油など、自社の加工技術を駆使した豊富な商品が、消費者に喜ばれています。
また、今年から販売をスタートしたのが、三年完熟醤油を使った『醤(ひしお)スイーツ』です。地元中津市の和菓子店・殿畑双葉堂製造の『醤油屋丸ボーロ』や『醤油屋パウンドケーキ』、洋菓子店・スイートアンジュ製造の『みたらし醤油屋プリン』や『醤油屋がつくったみたらしだんご』を、二反田醤油店の工場敷地内に併設している店舗と通信販売のみで限定販売。醤油がほんのり香るあまじょっぱさが人気を集めていると同時に、地元中津の活性化に大きく貢献できる商品といえそうです。
豊富なラインナップを誇る加工品
三年完熟醤油を使った『醤(ひしお)スイーツ』
二反田醤油店の工場敷地内に併設している店舗
一般消費者にこそ届く商品づくりを
今ではあまり見かけなくなりましたが、昔は当たり前だった一般家庭への配達。二反田醤油店では今も変わらずにおこなっています。全盛期に比べると利用客はずいぶん減ったそうですが、それでも続けているのには『お客さまとのつながりを大切にしたい』という思いがあるからです。「昔から利用してくださっている高齢のお客さまがほとんどです。皆さんから醤油の使い方のヒントをいただくことも多いんですよ」と配達を担当している二反田圭祐さん。2種類の醤油をブレンドしたり、思いがけない料理に使っていたり。家庭の味を守るお母さんならではの使い方を直接知ることができる配達は、消費者のニーズをつかむためにも大切だととらえています。
売り上げを伸ばしつつあるネット販売でも、お客様とのつながりを大切にしたいという思いは変わりません。「ネット上とはいえ、個人のお客さまとつながれるのは私たちにとってもありがたいこと。全国、世界、ひとりでも多くのお客さまとつながれたらうれしいですね」(二反田社長)。
さらなるファンの拡大に向けては、「醤油をもっと身近に感じてもらうために、工場見学や蔵まつりもやりたい」と今後の意気込みを話す二反田社長。地域とのつながり、消費者とのつながりを大切にしながら、丁寧に、実直に。日本の伝統を後世へ伝えるという使命感のもと、さらなる飛躍を目指しています。
昔は当たり前だった一般家庭への配達。二反田醤油店では今も変わらずにおこなっている
地域とのつながり、消費者とのつながりを大切にしながら、丁寧に、実直に
有限会社 二反田醤油店中津工場
PROFILE
- 設立年月
- 1960年4月
- 代表取締役
- 二反田 新一
- 事業内容
- 醤油味噌・健康飲料・各種調味料の製造販売
CONTACT
- 住所
- 大分県中津市上宮永955-1
- TEL
- 0979-22-2354
- FAX
- 0979-22-1420
- メール
- kurakobo@nitanda.com
- HP
- https://www.nitanda.com/