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醤油屋が作るから価値がある 伝統を繋ぐための進化を有限会社二反田醤油店 [ 大分県中津市 ]

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  • 調味料

醤油店の枠を超えた新しい分野にも挑戦しながら、進化を続けている老舗醤油店。近年は醤油を使ったスイーツが人気を集め、観光客や若者など新たな客を獲得しています。専門店として地域に根づきながら、全国・海外で勝負できる商品づくりを実践。手作りにこだわっているからこそ、新しい取り組みをカタチにできるのです。

(左)二反田圭佑さん、(右)代表取締役 二反田新一さん

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確立された伝統があるから作れる多彩な商品

創業から100年以上の歴史をもつ『二反田醤油店』の醤油は、昔ながらの天然醸造で作られます。味の決め手となる“醤油もろみ”を大豆と麦から発酵させて作る高い技術は、創業から受け継がれている伝統です。醤油屋に必要なことは、高い発酵技術だと思っています」と、二反田新一社長が自信を持って話すように、伝統の製法を貫いてきました。

天然醸造を用いた醤油づくりをしている醤油屋は、大分県内にある60軒のうちわずか3軒ほどで、九州で数えると10軒にも満たないといいます。「あえて手間暇がかかる製法は続けていかないとね。それができるのがうちの強みでもありますから」(二反田社長)。

26歳の時に家業を継いだ二反田社長。「伝統を守るのは大変」と言いながらも、新たな挑戦の話をするときは楽しそうです。

天然醸造によって作られる醤油は、仕込みから完成までに3年以上を要する『三年完熟醤油』をはじめ、あまくち、うすくち、だし醤油などがあり、家庭の味を支える醤油として地元を中心に定着しています。昔は各家庭から注文を受けて配達も行なっていたそうですが、時代の移り変わりとともにその数は激減。しかしそれは後ろ向きなことばかりではなく、「スーパーで売っている二反田さんの醤油を買うから、配達は来なくていいよという声も増えましたね」と、変わらずに使い続けている消費者が多いようです。

発酵熟成に3年もの時間をかけてつくられる『三年完熟醬油』。手間と時間によって深い味わいを引き出す逸品。

時代の流れで醤油屋を取り巻く環境は変化してきました。「醤油だけ売っていればいい時代ではなくなりました」と、醤油をベースにした加工品の開発に着手したのが二反田社長の父(2代目)の時代。第一号として誕生した『かぼす醤油』を皮切りに、さまざまな商品開発に取り組んできましたが、それを可能にするのは、しっかりとしたベースになる醤油があるからこそ。「伝統の技術を武器に、柔軟な発想でいろんな商品を生み出していきたい」と二反田社長は、大分県産素材を使ったドレッシングやソースなど、定番の醤油以外の商品によって、消費拡大を実践しています。

かぼす、バジル、柚子、大葉、ネギなど、大分県産の素材を使った商品も豊富。

地元中津市の名物・からあげを盛り上げる商品も開発。観光土産として人気です。

醤油屋だから作れる逸品『醤(ひしお)スイーツ』で販路拡大

新たな消費者を獲得するために開発したシリーズのひとつが『醤(ひしお)スイーツ』です。これまでに、地元菓子店との共同開発によって、パウンドケーキ、プリン、丸ボーロを発売しています。もちろん全てに同社の醤油を使用。醤油とスイーツは一見対極にあるように感じますが、その珍しさからか注目を集める商品のひとつに。「日頃、醤油専門店に足を運ばないであろう若いお客様も来てくれるようになりました」と、新規客の来店につながっているそうです。

『醤スイーツ』シリーズのひとつとして人気の『醤油屋がつくったみたらしだんご』は、消費者の声を受けてプラスチック容器からから瓶に変更。白玉の量や大きさも改良し、冷凍での販売も可能になったことから、ギフト需要も増えています。「“醤油屋がつくった”という言葉がみなさんの心を掴むようですね」と二反田社長も手応えを感じているそうです。

醤油がベースとなるみたらしのタレだからこそ、こだわりは格別。開発までには何度も試作を重ね、パートさんを含めてスタッフ全員の意見を聞きながら完成させたといいます。現在は菓子製造業の資格を取得し、敷地内に設置した作業場で、タレづくりから瓶詰めまで全ての工程を自社内で行なっています。

三年完熟醤油をベースに、三温糖や波照間島黒糖でやさしい甘さをプラス。深みがありながらあっさりと味わえるスイーツ。

新しい食卓のおともに!?スイーツ専門醤油「みたらし醤油」「バニラみたらし醤油」

『みたらし団子』に使うみたらしのタレの美味しさを手軽に楽しめる商品として、『みたらし醤油』『バニラ醤油』の2つの“スイーツ専用醤油”が誕生しました。

『みたらし醤油』は、みたらしだんごにも使われているタレを醤油用ボトルにつめたもの。展示会などでは試食用としてだんごにかけて提供していたところ好評で、そこから『みたらしだんご』が生まれたという経緯があります。

みたらし醤油の製造過程で、ふと近くにあったバニラエッセンスを手に取り、入れてみたところ塩キャラメルのような風味に変化。「どうして入れてみようと思ったか覚えてないんですが()」と振り返る二反田社長ですが、これまでの常識にとらわれない発想が自然とそうさせたのかもしれません。これを『バニラ醤油』として商品化。スイーツ専用醤油として販売している2種類は海外のバイヤーに好評で、現在オランダ、カナダ、台湾、韓国、フランスで販売。醤油屋がつくる“ジャパニーズスイーツ”が世界に広がっています。

また、『バニラ醤油』をベースにした『バニラみたらしだんご』も誕生。「自分自身も楽しみながらつくった商品が意外な反応をもらえて、注目を集めるのはうれしいですね」と、今後も加工品づくりに積極的に取り組んでいきます。

スイーツ専用醤油は、パン、アイスクリーム、ヨーグルトにかけて。意外なところでは豆腐に合わせるとスイーツみたいに味わえるそう。

伝統技術を武器に、「おもしろい」を発信する醤油屋へ

「時代の流れに柔軟に対応しながらも、ベースにある伝統はしっかり守っていきたい」。使い続けている設備は当然古くなっていき、修繕も容易ではありません。それでも昔ながらの製法を大切にし、老舗としての歴史を繋いでいきます。変わらない味を届け続けるために、「常識にとらわれず、おもしろい商品を生み出していきたい」と意気込む二反田社長。老舗醤油店の展開に、ますます期待がふくらみます。

熟成もろみを布に入れ、自重で液体と醤油粕に分ける「絞り」の作業。すべての工程に人の手が加わる昔ながらの製法を守り抜いています。

有限会社二反田醤油店

PROFILE

設立年月
1960年4月
代表取締役
代表取締役 二反田 新一
事業内容
醤油味噌・健康飲料・各種調味料の製造販売

CONTACT

住所
〒871-0027 大分県中津市上宮永955-1
TEL
0979-22-2354
FAX
0979-22-1420
メール
kurakobo@nitanda.com
HP
https://www.nitanda.com/

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