この先、求められる商品は? 時代を読みながら「次」を探す有限会社デリカフーズ大塚 [ 大分県大分市 ]
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『デリカフーズ大塚』は、オリジナルの調味液作りからスタートした主力商品の「とり天」をはじめ、電子レンジで温めるだけで“できたて”が味わえる、フライ済みの冷凍商品を製造しています。変化する時代の少し先を見据えながら、前進し続けています。
代表取締役 大塚次生さん
時代を読む発想力で、付加価値のある商品を
「今ははもう、包丁離れというより台所離れ。電子レンジの時代ですからね。夕食も冷凍食品で作ることができます。両親が共働きの場合、子どもが1人で作るのにもレンジの調理なら危なくないですからね」というのは、『デリカフーズ大塚』の大塚次生代表取締役社長。オリジナルの調味液作りからスタートした主力商品の「とり天」も、今では電子レンジで温めるだけで“できたて”が味わえる、フライ済みの冷凍商品が一番人気に。コロナ禍を迎えその人気はさらに上昇し、大容量の500gパックが売上を伸ばしています。
昭和63年の創業以来、時代の先を読みながら成長を続けてきました。その根幹を支えるのは、高校卒業後長らく勤めていた大手食肉加工メーカーで教えられた、「これからは変化の時代」という言葉。そして、新商品開発から学んだ、発想力の大切さでした。「これからは、惣菜、デリカの時代が来る」という思いを込めて、自身が創業した会社には『デリカフーズ』に。チルド品で肉の串刺しなども試作したが、当時はまだ「自分で作る」ということに価値を求められていた時代です。時代を先行した取り組みはなかなか受け入れられませんでしたが、「付加価値のある商品を作りたい。今売上がなくても、内容のある仕事をしたい」大塚社長は、突き進みます。
転機となったのは、創業から2年ほど経ったころ。ふと、地元で食べていたあるメニューが気になりはじめました。それは、いとこがコックをしていた大分市の食堂『いこい』の「とり天」。転勤の多かったメーカー勤務時代、地元の大分に帰ってくると必ず立ち寄って食べていた一品です。当時は気にも留めていませんでしたが、13回の転勤、1年の半分以上は国内各地に出張に出かける日々を思い返してみると、「いろんなところに行ってきたけど、『とり天』ってなかったよな、と思ってね。大分市の観光課に電話したんですよ」。
早速大分市が調査し、2週間後に返ってきたのは「どうも大分が発祥みたいですね。ほかの県にはありませんよ」、という言葉だった。「じゃあ、あれはどうやって作る?」 改めて大分市にも確認をし、オリジナルでとり天の下味用の調味液を開発しました。スーパーの惣菜コーナーなどで使ってもらおうと、そのとり天用調味液にまぶした鶏肉を販売したのですが、不発。「こんなもん売れるわけないやないか。ダメや。そんな反応ばっかりでしたよ」。
それなら、現場の手間を省くために「天ぷら粉までまぶして、あとは揚げるだけにしよう」と、調味液に和えた鶏肉に水溶きの粉をまぶしたチルド品を作成しますが、これもなかなか販売が伸びません。
いろんなところに行ってわかった、大分の味
電子レンジで温めるだけで“できたて”が味わえる、フライ済みの冷凍商品が一番人気
大分発祥のとり天
いち早く、ネット販売を開始。大分のとり天を全国に。
しかし、時代は変わるのです。大塚社長が足を止めるはずがありません。「楽天がネット販売を始める」と聞き、早速、社員の1人を1ヵ月間研修へ。まだ企業でも導入が進んでいなかったインターネットで、販売を開始します。その先進の取り組みは「インターネット販売でとり天を発送。大分の商品を全国区に!」と、地元紙にも紹介されたのだとか。
1日に600件の問い合わせや申し込みがあったと言いますが、そこにも穴が。現在のように物流が発達しておらず、「特殊な冷凍で送るとね、商品は500円なのに、送料が1000円や2000円かかる時代。しかも、注文も電話でかかってくる。集金もうまくいかなかったんですよ」。しかし、アクセスは日に600件。毎日、注文の電話がかかっていたといいます。
「チグハグなところもあったけど、そうやって商品を開発しながら、いずれはプリフライ、揚げた商品に変わるだろうと予想してやってきて今、その形になってきているから」。その言葉通り、現在ではフライ済みの「冷凍とり天」が一番の人気商品に。
調味液、天ぷら用の粉、つけダレをセットにした、家庭で気軽に「とり天」を手作りできるキットも好評です。
そして、自慢の「とり天」を進化させた最新作が、「とり天南蛮バーガー」と「唐揚げバーガー」。とり天用の調味液や、南蛮ダレなど、既存のオリジナル品を使ったとり天南蛮や唐揚げに合う、バーガー専用のソースも新たに開発しました。「とり天南蛮バーガーのタルタルは、確かに美味しいんです」と、開発担当者も自信をのぞかせながら、「唐揚げバーガーのオーロラソースは、まだ少し改良の余地がありそう」と、より高い完成度を求め改良を重ねています。
現在は、地元の「大分トリニータ」の試合会場での自社出店で販売したり、大分空港の売店などで試験販売中。また、今はパンや具材をそれぞれ別に冷凍し、自然解凍したり温めなおしたりして現場でサンドするスタイルですが、バーガーの完成品を瞬間冷凍させ、そのまま自然解凍して簡単に食べられるようにしたいと、研究を重ねています。難しい挑戦ですが「逆に言えば、これはチャンス」と、大塚社長。変化する時代の少し先を見据えながら、前進し続けます。
フライ済みの「冷凍とり天」が一番の人気商品
調味液、天ぷら用の粉、つけダレをセットにした、家庭で気軽に「とり天」を手作りできるキットも好評
自慢の「とり天」を進化させた最新作「唐揚げバーガー」
有限会社デリカフーズ大塚
PROFILE
- 設立年月
- 昭和63年創業
- 代表取締役
- 大塚 次生
- 事業内容
- 食品加工、惣菜、製造、販売
CONTACT
- 住所
- 〒870-0945 大分県大分市大字津守1228番地の2
- TEL
- 097-568-4729
- FAX
- 097-568-4149
- HP
- http://bungo-toriten.com/