美しい大分を料理する有限会社オフィスP2 [ 大分県大分市 ]
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大分のおいしい食材を使って料理するだけでなく、食材や料理の裏にあるストーリーまで重視し、提供方法までをプロデュースする『オフィスP2』。大分の旬の食材を使い、クルーズトレイン「ななつ星in九州」の車内でいただくお料理を作るほか、高速船『クイーンビートル』船内で提供する食事も担当しています。
「ななつ星」の料理を担当
代表の河野美千代さんは、大分市内でレストラン『方寸』を経営。「ななつ星in九州」(以下「ななつ星」)では、運行開始時から車内でいただくお料理を担当しています。しかし当初は、「ななつ星」に乗車する舌の肥えたお客様に「何を出せばいいのか」と悩んだそう。そんな時に思いついたのが、土。「これから食べていただくお料理に使う野菜も肉も魚も、全部この土からできているんですよ、って。だから、まずこの土を食べてもらおうと思たんです」。
個性的なアイデアだけに保健所からは反対されたそうですが、「ならば、どうすれば食べられる?」と検討を重ね、レトルト加工して微生物をゼロにした土を使うことに。そんな土を自らがデザインした土色のお皿の上に置き、重ねたガラス皿の上に料理を盛り付けたのだとか。そして「私がどうしてこんなことをしたのかを、メニューに全て書いたんです」。河野さんならではのアイデアとストーリーのある料理は、多くの人を虜にしています。
難題との遭遇が進化の転機に
2022年には、博多と韓国・釜山を結ぶ高速船『クイーンビートル』の船内で提供する食事も担当することに。しかし大きな揺れが予想される高速船内では、火を使うことができません。調理で使えるのは電子レンジのみ。必然的に、冷凍した料理を納品することになりました。
しかしこの難題が、現在の河野さんにとっての最高の相棒、高速・高機能冷凍装置「ブラストチラー」との出合いにつながります。理想の料理を提供できるような冷凍機械を探し日本中の機械メーカーを訪ねたそうですが、自身のレシピをメニューかできるものに出合うことはできませんでした。そして、最終的に辿り着いたのが「ブラストチラー」。
これまでは冷凍には向かないとされてきた卵料理や生クリームも、自然解凍してそのまま味わうことができます。味はもちろん、見た目の美しさも変わらず、生野菜も冷凍可能。「大根なんて、解凍してもカリッカリですよ!」
『クイーンビートル』で提供するいなり寿司。自然解凍で、酢漬けの大根もカリカリの食感を楽しめる
ブラストチラーなら、解凍したパンもふわふわ。それに感動し、サンドイッチもメニューに加えた
大分の「おいしい」を冷凍したい
河野さんが求めたのは、「どこにでもあるもの」ではなく、河野さん独自の料理を冷凍すること。「『大分の美しい』を、『大分のおいしい』をね、冷凍にしたかったんです」。河野さんが「宝物」と呼ぶブラストチラーは、想いを叶える大きな味方になりました。
完成した料理を冷凍するだけでなく、素材の冷凍にも大活躍。「ななつ星」のコースに登場するアユや姫島産の車海老も、理想のサイズがあった時に少しずつ仕入れ、冷凍しておきます。「もうね、大分を冷凍しちゃう!っていう感じですよ」。すべての料理で理想の大きさのアユや車海老を使い、河野さんの理想通りの一皿が提供できるようになりました。
さらに、『クイーンビートル』のための新メニューも続々と開発。オープニングイベントのために作ったのは、「かぼすヒラメ」の刺身をのせた美しいちらし寿司。自然解凍で提供できます。「作りたてみたいなそのまんまだから、『キレイ』ってお客さんも感嘆の声をあげてくれるの。キュウリもカリッカリなんですよ」。
かぼすを餌に養殖された「かぼすヒラメ」を載せたちらし寿司は、美しくておいしい自信作。「これは大絶賛でした」と河野さん
スタッフの方と一緒に心を込めて手作りしたお料理を、ブラストチラーで冷凍する
普通は作りたくない
卵料理も冷凍可能になったため、『クイーンビートル』のために作ったオリジナルのキッシュは3種類。チーズと牛蒡とシソのキッシュ、はんぺんと天かすなどが入っています。どのメニューにも河野さんのアイデアが満載です。使っている素材の多くは大分産。「大分を愛しているんですよ」と、河野さん。
愛する地元のおいしい食材を伝えたいと、大分産のおいしいナスを使ったサンドイッチもメニューに。サンドイッチはもちろん、お料理に使う野菜は大分の農家さんが手塩にかけた野菜を使っています。
「ズッキーニとベーコン」など、3種類のキッシュを用意。自然解凍でサクサク食感を味わえる
「お好み焼きみたいなキッシュもあっていいんじゃない?」と、桜エビにはんぺん、天かすを組み合わせたキッシュも
歴史を背景に常に新しいものを作る
「今までにもあった古いものを作ろうとは思わない。常に、新しいものをどんどん作りたくなるの」。大分を飛び越えて、新たな素材や歴史との出合いも楽しんでいる河野さん。『クイーンビートル』で提供する料理には、福岡ー釜山(韓国)という航路を考え「韓国料理も取り入れたい」と、プルコギのお弁当も登場しました。
韓国プルコギは、「いなり寿司」の具材の1つにもなっています。日本では古くから、お稲荷さんの遣いであるきつねの好物としていなり寿司が奉納されていました。しかしこの稲荷神は渡来人・秦氏が朝鮮半島から九州に渡った際、伏見稲荷大社に祀ったのが始まりと言われているのだそう。そんな日本と韓国をつなぐ縁のあるいなり寿司を、日本と韓国を結ぶ船のメニューに加えるなんて。味や美しさだけでなく、その裏にあるストーリーを大切にする河野さんらしいメニューです。
『クイーンビートル』で提供しているプルコギ弁当。細部にまで心を配った盛り付けも美しい
そのおいしさはもちろん、裏にあるストーリーにも興味をそそられるいなり寿司
その土地の「おいしい素材」を使って料理したい
以前は、九州7県の特産品を使ったアイスクリームも製作。その時も大切にしたのはストーリーでした。そんなストーリーは、メニュー表などにもきちんと書かれているんですよ。河野さんのお料理は「食べる」だけでなく、背景や食材についての物語、その後の余韻まで堪能しながら味わうことができます。
今後も「チャレンジしたい料理はいっぱいある」と河野さん。「新しいレストランをしたいんですが、なんて相談のオファーが来たら一番楽しいですね」。“高速・高機能冷凍”という強い武器を手にした今、レストランで河野さん自身が料理せずとも、冷凍で作りたての味を楽しむことができるようになりました。料理人不在でも、味自慢のレストランができる時代なのです。「そういうプロデュースもやってみたいですね」。食材や料理への探究心は尽きることなく、新たな料理への挑戦も終わることがありません。
大分以外の食材との出合いにも意欲的。独自のアイデアで、その素材の新たな魅了的を引き出すお料理を作ってくれる
お料理や商品に合わせたパッケージやカトラリーも、河野さん自身がプロデュース
有限会社オフィスP2
PROFILE
- 設立年月
- 1999年11月
- 代表取締役
- 河野 美千代
- 事業内容
- ケータリング・加工。お料理をはじめパーティーに必要な「ヒト・モノ・サービス」を会場へ運び運営を行う
CONTACT
- 住所
- 大分市荷揚町6-16スカイメゾン外苑1F
- TEL
- 097-538-5138
- HP
- https://hosun-oita.jp/