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森産業株式会社 大分営業所-われ、農夫の祈りに開眼す。 森産業株式会社 大分営業所-われ、農夫の祈りに開眼す。

原木栽培の生椎茸には無限の可能性が広がっている!森産業株式会社 大分営業所 [ 大分県大分市 ]

  • カテゴリ
  • 農産物加工

大分市郊外の里山の美しく整えられたほだ場で、希少価値が高い原木椎茸を栽培。香り豊かな肉厚で美しい一級品の椎茸をはじめ、ダイスカットの冷凍椎茸など、原木椎茸の旨みを生かした様々な商品を開発しています。

河合清さん

河合清さん

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美しく整えられたほだ場で手をかけて育てた原木椎茸

大分市郊外の里山。大きなハウスの中にあったのは、美しく整えられたほだ場(椎茸の種菌を植え付けた原木が並べられた、栽培地)でした。地面は、破砕した木が敷き詰められていてフカフカです。
ここで原木椎茸を栽培しているのは、河合清さん。「夏になると、すべての原木をここから出して山に運びます。山のほだ場はもっと大きいよ」。山林を整地したその場所の地面もまたフカフカで美しく整えられており、手をかけて育てられているのが一目で分かります。
以前は建設会社を営まれていましたが、ご実家が椎茸を栽培してたこともあり、12年前から椎茸栽培を始められたといいます。当初から循環型の農業にも取り組まれており、栽培に使った原木は4~5年経つとすべて粉砕。ほだ場に敷いたり、発酵した竹などと混ぜ合わせて堆肥作りも行なっています。河合さんは、里山を再生させながら椎茸を生産する取り組みなどが高く評価され、昨年は内閣総理大臣賞も受賞されました。

美しく整えられたほだ場

美しく整えられたほだ場

創業であり、椎茸の人工栽培のパイオニア森喜作とは

大分県は、日本一の干し椎茸の生産地。現在でも、原木栽培する乾椎茸は40%以上の生産シェアを誇っています。しかし近年は乾物離れが進行し、乾椎茸の販売量は減少。「いい出汁がでておいしいし、体にいいものなのに売れない」。そんな、乾椎茸生産地で生まれている閉塞的な状況を「何とかしたい」と立ち上がったのが、椎茸をはじめとしたきのこの種駒(種菌)の開発・販売を行う『森産業』でした。その決断の裏にあったのは、創業であり、椎茸の人工栽培のパイオニアである、森喜作氏の存在です。

昭和初期、当時大学生だった森氏が全国の農業経済の実態調査を行っている最中、大分県日田市の山村で悲痛な光景に遭遇します。そこには、椎茸の原木の前で祈る老いた農夫の姿が。「なば(椎茸)よ出てくれ。おまえが出んば、おらが村から出ていかんばならんでな」。原木は借財をして購入しており、植えつけた胞子が自然付着せず栽培が失敗すれば、待つのは一家離散です。
その出会いをきっかけに、森氏は「われ農夫の祈りに開眼す」と、椎茸が確実にできる方法の研究に没頭。実家がある群馬県に戻り、自身の財産を投げ打って研究を続けた結果、昭和17年、ついに純粋培養菌種駒法を発明しました。「私たちは、森喜作から始まった会社です。だから今も“生産者を守る”というのが大前提なんです」と、大分営業所所長の佐藤浩孝さん。

大分県は、日本一の干し椎茸の生産地。現在でも、原木栽培する乾椎茸は40%以上の生産シェアを誇る

大分県は、日本一の干し椎茸の生産地。現在でも、原木栽培する乾椎茸は40%以上の生産シェアを誇る

創業者の森氏は、椎茸の原木の前で祈る老いた農夫に出会ったことをきっかけに、椎茸が確実にできる方法の研究に没頭

創業者の森氏は、椎茸の原木の前で祈る老いた農夫に出会ったことをきっかけに、椎茸が確実にできる方法の研究に没頭

“生産者を守る”ための取り組み

そこで、乾椎茸の生産者の助けになればと目をつけたのが、生椎茸でした。「原木の乾椎茸の需要が減っている一方で、原木の生椎茸は少なく、希少価値が高いんです。高齢化する生産者が少しでも長く続けられるように、また、生産者としての経営が成り立つように、我々が生椎茸の販売まで行おうというのがこの事業の始まりです」。

実は、今全国で流通している生椎茸の92%は、おがくずを固めた菌床で育てた椎茸。原木の椎茸と比べると、味わいにも格段の差があります。「山の香りも自然の香りもして、食べると味の違いが分かります。関東や関西では、原木の椎茸を望む声が多いんです」。
“生の椎茸を乾燥させて乾椎茸にするのなら、生のまま出荷すればいいのは簡単なこと”と素人は考えてしまいますが、この「乾から生の出荷」に苦労されたといいます。
乾椎茸は乾燥する必要があるため、完全にかさが開いてから収穫するのが一般的ですが、生椎茸ではかさが開ききらずに、丸く肉厚の状態で収穫するのが理想。そのためには、毎日こまめに山のほだ場へ行き、ベストな時期を逃さずに収穫する必要がありますが、長年乾椎茸のために生産を続けていた高齢の生産者にとっては、その切り変えが大変。生産者の確保に苦労しました。そんな時に声をかけたのが、県内でも有数の椎茸農家であり、早くから循環型の農業にも取り組まれていた、河合さんです。すでに一部の椎茸は生で出荷していたこともあり、想いに共感。ご自身も、干し椎茸から生椎茸へ、出荷体制を変更しました。
2年前からは、もっと生産者の負担を減らしたいと共選共販のシステムを導入。収穫した椎茸を県内各地区の拠点ごとに置いた冷蔵庫に入れておけば、集荷し、選別や箱詰め、出荷までを事業部会が行なっています。主な出荷地は、京都市場。肉厚で形も美しい一級品の「森の大統領」は、京都府内の高級旅館や料亭で人気になり、今は出荷数が追いついていない状況です。

肉厚の椎茸を、ヒダを上に向けてフライパンや焼き網に乗せて焼くでしょ。ヒダに水滴がついてきたら、もう食べごろ。かぼす醤油でもかけたら、最高ですよ」と、佐藤さん。聞いているだけでよだれが出てきそうです。

「高齢化する生産者のため、我々が生椎茸の販売まで行おう」というのが事業の始まり

「高齢化する生産者のため、我々が生椎茸の販売まで行おう」というのが事業の始まり

生椎茸ではかさが開ききらずに、丸く肉厚の状態で収穫するのが理想

生椎茸ではかさが開ききらずに、丸く肉厚の状態で収穫するのが理想

2年前からは、もっと生産者の負担を減らしたいと共選共販のシステムを導入

2年前からは、もっと生産者の負担を減らしたいと共選共販のシステムを導入

肉厚で形も美しい一級品の「森の大統領」は、京都府内の高級旅館や料亭で人気

肉厚で形も美しい一級品の「森の大統領」は、京都府内の高級旅館や料亭で人気

冷凍椎茸や原木椎茸の旨みを生かした商品作り

収穫したすべての椎茸を共撰場に集めることで、高級品として出荷できない撰別除外品を使った二次加工品の開発にも着手。同じ大分県内の『(株)豊後大野クラスター』に依頼して、ダイスカットの冷凍椎茸の商品化を進めています。
現在開発しているのは、中華料理や鍋物にも重宝する3cmのダイスカットと、チャーハン・餃子やオムレツなどに使いやすい5mmのダイスカットの2種類。栄養成分はそのままに、味わいや香りは乾椎茸のように濃厚に。バラ凍結のため、必要な分だけ少しずつ使えるようになっています。
レトルトカレーや炊き込みご飯の素など、原木椎茸の旨みを生かした商品作りも行なっており、OEMやPB商品の開発も受付中。おいしい生椎茸には、まだまだ無限の可能性が広がっています。

中華料理や鍋物にも重宝する3cmのダイスカットと、チャーハン・餃子やオムレツなどに使いやすい5mmのダイスカット

中華料理や鍋物にも重宝する3cmのダイスカットと、チャーハン・餃子やオムレツなどに使いやすい5mmのダイスカット

レトルトカレーや炊き込みご飯の素など、原木椎茸の旨みを生かした商品作りも行なっている

レトルトカレーや炊き込みご飯の素など、原木椎茸の旨みを生かした商品作りも行なっている

森産業株式会社 大分営業所

森産業株式会社 大分営業所

PROFILE

設立年月
1943年4月
代表取締役
森裕美
事業内容
きのこ種菌・菌床および、きのこ加工食品・飲料の製造販売、きのこ栽培施設の設計・施工・資機材販売

CONTACT

住所
大分県大分市上田町8-2-2
TEL
097-543-8833
FAX
097-543-8822
HP
https://www.drmori.co.jp/

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