健康・美容ブームで高まる“もち麦”の可能性を広めたい一般社団法人玖珠レーベル [ 大分県玖珠町 ]
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- 農産物加工
- 精穀・製粉・製麺
平成29年、「玖珠町産大麦プロジェクト研究会」立ち上げの際に組織された農業法人。大麦を丁寧に磨いてできる『もち麦』は栄養価にすぐれ、近年の健康志向や美容・雑穀ブームの高まりから需要が増えています。また、子どもから大人まで気軽に食べられるようにと、加工品の開発にも力を注いでいます。
梶原龍馬さん(写真左)、桑野英司さん(写真右)
手間と愛情たっぷり。『メイドイン玖珠』のもち麦
米の産地として有名な玖珠町で、もち麦(もち性品種の大麦)の栽培をはじめたのは、地元出身の大学生の「玖珠町を盛り上げたい」という地域貢献の思いがきっかけでした。その思いを知り、玖珠町の有限会社東華代表取締役・桑野英司さん(同法人常務理事)が声をかけたのが、小麦農家の梶原龍馬さん。農業組合法人浦の原受託組合組合長の梶原さんは、現在同法人の専務理事をつとめています。
米の収穫が終わる時期に栽培のシーズンを迎える大麦。表裏の二毛作ができれば、農家の安定収入や玖珠町の知名度アップも期待できることから、“玖珠町産大麦プロジェクト研究会”を発足し、大麦の栽培に着手。しかし、最初は順調とはいえないスタートでした。「気候や土の質、土地の広さなどを踏まえると、玖珠町は大麦づくりに不向きな地域なんです」(梶原さん)。
そのため、まずは玖珠町の環境で育てられる種子探しからのスタートでした。冬の寒さが特に厳しい玖珠町の風土に適した寒冷地仕様の種子を探していたところ、長野県で使われている『六条大麦』の種子にたどりつきました。試験栽培を重ねながら試行錯誤すること約3年、ようやく理想の大麦栽培に成功し、4軒からスタートした農家は12軒に、作付面積もトータル5町(約5ha)に増え、年間15tの大麦を収穫できるまでになりました。また、今年から二条大麦の作付けにも着手していて、さらなる収穫量の増加を目指しています。
さらに、玖珠町産と銘打つ商品として売り出すことがプロジェクトの意義だったことから、同時に進めていた産地銘柄も取得。品種名“ホワイトファイバー”として、大分県玖珠町産もち麦の販売がはじまりました。
大分県玖珠町産もち麦“ホワイトファイバー”
作付面積もトータル5町(約5ha)に増え、年間15tの大麦を収穫
付加価値を上げる加工品で、大分の農業をリノベーションする
専門工場で精麦し、麦同士をこすりあわせて磨きをかけることで、小粒で真っ白なもち麦が生まれます。また削られた外皮は「ふすま」として、黒毛和牛のえさに使われています。 もち麦には、水溶性食物繊維(大麦β-グルカン)が豊富に含まれていて、健康や美容を意識する人に親しまれている食材で、代表的な食べ方は白米に混ぜて炊くこと。
地元の玖珠町と、おとなりの九重町では学校給食にもち麦が取り入れられ、地域の子どもたちにも身近な存在で、「小さいからお米と混ぜても違和感がない」「もちもちしておいしい」など好評だそうです。「厳しい気候で育っているから甘みがあっておいしいんです」と梶原さん。おいしさと栄養価の高さから、その需要はますます拡大しそうです。さらに米の名産地でもある玖珠町だからこそ、相乗効果によって米ともち麦それぞれの消費拡大にも期待がふくらみます。
「健康や美容を意識している消費者からは非常に需要の高いもち麦ですが、素材だけを売るのでは限界があります。より気軽に、みなさんに楽しんでもらえる商品で、もち麦のよさを知ってもらいたい」と、さらなる消費拡大に向けて、製粉したもち麦粉を使った加工品の開発にも力を入れています。
例えば、老舗せんべい店・木之元製菓(別府市)の協力で生まれた『もち麦せんべい』、ポン菓子屋・有限会社大徳(日田市)が製造する『ポンおこし』シリーズ、別府大学との共同開発で、有限会社四井製麺工場(宇佐市)が製造する『つるつるもち麦うどん』や『もち麦やせうま』、エムライフシティ(大分市)の声かけにより生まれ、玖珠米と三和酒類(宇佐市)のGABAを配合した『GABAもち麦あまざけ』など、大分県内のさまざまな企業との連携で数々の加工品を展開。地元のスーパーや県内外の道の駅、百貨店などで販売され、玖珠町産もち麦のブランドは着実に広がりをみせています。
水溶性食物繊維(大麦β-グルカン)が豊富に含まれていて、健康や美容を意識する人に親しまれている
ポン菓子屋・有限会社大徳(日田市)が製造する『ポンおこし』シリーズ
別府大学との共同開発で、有限会社四井製麺工場(宇佐市)が製造する『つるつるもち麦うどん』や『もち麦やせうま』
地域、大学、福祉など、異業種とのタッグで『チーム大分県』の商品を
『大分の農業をリノベーションする』が同法人の目的のひとつであることから、プロジェクト設立当初から他企業との連携に積極的に取り組んできました。「県内には独自の技術や製法をもつ企業・団体がたくさんあります。農家だけではできないことも、みなさんの協力があるからできるんです」と話す梶原さんや桑野さんの、『チーム大分県で挑戦する』という思いに賛同する仲間が増えているからこそ、バリエーション豊富な加工品が生まれているといえます。農家、地元企業、大学、福祉施設など、地元を越えた異業種とのタッグにより、現在もさまざまな商品開発プロジェクトが進行中です。
「大麦の栽培がスタートしたのも、大学生の“地元を元気にしたい”という声がきっかけでした。チーム大分県として地方創生に尽力していきたいですね」(桑野さん)。これまでの農業の常識にとらわれず、さまざまな視点を取り入れながら、大分県や玖珠町のいいものを全国・世界へ。「宇宙食にもち麦の加工品を取り入れてもらえたら、さらにおもしろそうですよね」と楽しそうに話す桑野さん。地域を中心に、大分県全域を巻き込みながらの挑戦は続きます。
玖珠米と三和酒類(宇佐市)のGABAを配合した『GABAもち麦あまざけ』
一般社団法人玖珠レーベル
PROFILE
- 設立年月
- 2017年8月
- 代表取締役
- 大野元秀
- 事業内容
- 大分県産もち麦の栽培、精穀・製粉、加工品製造・販売
CONTACT
- 住所
- 大分県玖珠郡玖珠町戸畑6641
- TEL
- 0973-73-7050
- FAX
- 0973-73-7050
- メール
- days210x387@cotton.ocn.ne.jp