情熱と技術を武器に湯布院名物をつくる株式会社由布製麺 [ 大分県由布市 ]
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そばをメインに、郷土の味やご当地麺を次々と開発。観光土産のみならず、近年の中食需要の増加によって売り上げを伸ばしています。常に新しい発想を取り入れながらも、軸にあるのは湯布院ブランドの名に恥じない商品をつくること。職人の高い技術と情熱は、さまざまな企業からも注目を集めています。
(左)代表取締役社長 長谷川鉄さん、(右)専務 長谷川準さん
時代のニーズで進化する麺づくりの技術
ゆで麺を専門に扱う会社として創業した『由布製麺』。時代の流れで消費者の需要も変化し、現在は生麺、半生麺、乾麺などさまざまなタイプの麺を製造しています。製粉・製麺工場を完備し、一貫生産が可能。「おいしいことはもちろんですが、安全な商品を届けるために、衛生管理も徹底しています」とは、主に営業を担当している専務の長谷川準さん。食に携わるプロとして安心・安全に加え、厚生労働大臣認定の製麺技能士が手がける高品質な麺を製造。『ゆふいん麺工房』の屋号で、九州の大手スーパーや大分県内の小売店、空港ターミナルや道の駅などの土産売場で自社製品販売や、業務用製品の卸売を行っています。また、県内に本社を置くスーパーのオリジナル商品を手がけるなど、製麺技術は業界でも高い評価を受けています。
湯布院で唯一の蕎麦農場。自然の力で育まれるおいしい蕎麦を
同社が製造販売する商品のひとつ『ゆふいん蕎麦』は、湯布院で育てた蕎麦粉100%使用の贅沢な一品です。この商品に使われるのは、自社の『ゆふいん蕎麦農場』で栽培された素材。以前、塚原高原で蕎麦を栽培していた長谷川専務の父である義さんの、「もっと栽培量を増やしたい」という思いから、蕎麦栽培に一層力を入れることになりました。農事組合法人湯布院蕎麦農場を立ち上げ、牧草地だった場所を開墾し、無農薬の蕎麦栽培に着手しました。由布岳を望む城ヶ岳にある、14ヘクタール(約4万2000坪)もの広さを誇る蕎麦農場。標高や寒暖差、美しい水など、湯布院ならではの自然の恵み豊かな環境下で育つ無農薬の蕎麦は、『有機認定そば農場』の認定を取得しています。
ここで育てられた蕎麦は、自社の『有機製粉所』で製粉されます。石臼で丁寧に挽いた蕎麦は香りや風味が一層豊かな仕上がりに。有機栽培、さらに湯布院産であることにこだわった付加価値の高い蕎麦は、八割そば・五割そば・生そば、蕎麦粉と、豊富なラインナップで展開し、売り上げを伸ばしています。「いずれは全ての蕎麦を湯布院産にしたいんです。湯布院といえば蕎麦と言ってもらえるようになるといいですね」と、新たな湯布院名物になるべく取り組みを続けています。
由布岳を望む城ヶ岳にある、14ヘクタール(約4万2000坪)もの広さを誇る蕎麦農場
自然の恵み豊かな環境下で育つ無農薬の蕎麦は、『有機認定そば農場』の認定を取得
麺づくりに情熱を注ぐ職人がつくる、湯布院ブランドを重視した商品
長谷川専務の兄で社長の鉄さんは、麺づくりのプロフェッショナル。「父と兄の情熱にはいつも驚かされます。そんな2人がつくるものだからこそ、私は自信をもっておすすめできるんです」と長谷川専務。機械化が進んでいるとはいえ、湿度、気温、季節など、毎日変化する環境を見極めるのは人の目です。栽培、製粉、製麺と、全ての工程において職人の技を駆使しているからこそ、いつも変わらないクオリティが保たれているのです。良い素材と、その良さを最大限に引き出す高い技術。父と息子たちの『麺づくりへの情熱』によって、おいしい麺ができあがります。
商品を開発するうえで大切にしているのは、「湯布院の企業がつくる意味のある商品」であること。湯布院や大分県産の素材を使うことを意識しながら、常に『湯布院ブランド』を念頭に置いて商品開発をしているそうです。「湯布院でなぜこの商品なのか?という理由がなければ説得力がありません。湯布院ブランドに恥じない商品をつくっていきたいんです」。旅館、ホテル、飲食店、温泉組合、観光協会など、湯布院ブランドを支える地元の一員としての役割を大切にしています。
栽培、製粉、製麺と、全ての工程において職人の技を駆使している
長谷川専務の兄で社長の鉄さんは、麺づくりのプロフェッショナル
父と息子たちの『麺づくりへの情熱』によって、おいしい麺ができあがる
ご当地の味を手軽に味わえる商品も充実。おうち時間増加で売り上げアップ
伝統を大切にしながらも、広い視野で消費者のニーズを捉えた商品を生み出しています。大分県の郷土料理である『やせうま』や『だんご汁』は、観光客を中心に好評です。また、近年売り上げを伸ばしている『ご当地グルメシリーズ』として、『別府冷麺』や『鴨だしラーメン』などを展開。高い製麺技術を応用し、さまざまなタイプの麺を製造しています。コロナ禍によって観光客が減少し、お土産としての売り上げが減少した時期もありましたが、「これまで人にあげるためのお土産としてお菓子を購入していたけど、自分用のお土産にと食事にできるものを買う人が増えたのかもしれません」と長谷川専務は分析します。店で食べるような本格的な味を、簡単な調理で再現できる商品によって、近年の『おうち時間』のニーズに応えています。
また、以前から取引があった宮崎県の『株式会社響』の社長から、「辛麺を作ってみない?」と提案されたことをきっかけに、製造を開始しました。辛麺といえば宮崎のご当地グルメであり、大分の商品として受け入れてもらえるか…という多少の不安はあったそうですが、同社が持つ技術をいかして、独自配合の専用麺を開発。『ゆふいん辛麺』として販売したところ、人気商品になりました。「みなさんからいただくアイデアと、それを形にしようとする製造スタッフがいるからこそ良い商品が生まれています」と話す長谷川専務のモットーは、「いろんなものを食べてみて、おいしいと思ったらまず作ってみること。想像以上のものを作ってくれる父と兄の技術がありますから!」と笑顔の長谷川専務。自信をもっておすすめできる“麺が主役”の商品は、まだまだ増えそうです。
宮崎県の『株式会社響』の社長から、「辛麺を作ってみない?」と提案されたことをきっかけに、『ゆふいん辛麺』の製造を開始
自信をもっておすすめできる“麺が主役”の商品は、まだまだ増えそう
株式会社由布製麺
PROFILE
- 設立年月
- 1988年5月
- 代表取締役
- 長谷川鉄
- 事業内容
- 製粉・製麺(生麺・半生麺・乾麺)の製造販売・蕎麦栽培)
CONTACT
- 住所
- 大分県由布市湯布院町川南339
- TEL
- 0977-84-4549
- FAX
- 0977-84-3945
- メール
- info@yufuin-menkobo.com
- HP
- https://www.yufuin-menkobo.com