世界からも注目を集める日本の伝統食「こんにゃく」有限会社佐藤商店 [ 大分県由布市 ]
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日本ならではの食文化であり、食卓に欠かせない身近な食材「こんにゃく」。昭和33年の創業以来、一貫した伝統製法で製造を続けてきたこんにゃくは、現代ではヘルシーフードとして海外からも注目を集めるジャパニーズフードに。時代に合わせた進化と、創業時から変わらない手造り食感を大切にしながら、歴史を紡いでいます。
代表取締役社長 佐藤 達矢さん
お客さまや従業員のために。サラリーマンから転身した2代目の決意
創業は1958年。庄内町の小野屋商店街でこんにゃくの製造販売をスタートしたのがはじまりでした。「当時は、まちの商店街には必ずこんにゃくや豆腐を製造販売する店がありましたが、たまたまこの地域になかったことからはじめたと聞いています」とは、創業者・昌弘さんの息子で、2代目の佐藤達矢社長。『まちのこんにゃく屋さん』として親しまれてきましたが、一般家庭の献立が徐々に洋食化したことにより、市場は少しずつ減少。「規模も大きくありませんでしたから、私が継いでも続けていけないと思っていました」と、佐藤社長は東京でサラリーマンに。
しかし1997年、昌弘さんが64歳の若さで急逝。「従業員もいましたし、お得意さんも多い。突然廃業するわけにはいきませんでした」と、帰郷してお得意さまへのあいさつ回りをしながらしのいでいるうちに、「2代目が帰ってきてがんばってくれてるから安心」という声をもらうようになったといいます。
「製法や経営のことなど教わっていなかったので、父ならどうするだろう?と模索の日々でした」と当時を振り返る佐藤社長。先代の思いと新しい発想を取り入れながら創業から60年以上。伝統食材としての味がしっかりと守られてきました。
手作り一筋 旨いの一言の為に 佐藤商店
佐藤商店のこんにゃく
リピーター続出の「本当においしいこんにゃく」の秘密とは?
板こんにゃく、糸こんにゃく、結びこんにゃくなど、さまざまなこんにゃくを製造。近年の人気商品『こんにゃく冷麺』は、それまでになかった新しい食感が好評で売り上げ好調です。2016年には食品安全マネジメントシステムFSSC22000を取得し、安心・安全な商品製造を徹底しています。
昭和40年代にこんにゃく製品の自動生産機が誕生してからは安価な大量生産品が増えたことも重なり、「こんにゃく屋さんは最盛期に比べると3分の1くらいにまで減少していると思います」(佐藤社長)と、業界としては厳しい現状が続いていますが、同社の製品には根強いファンが多く、「こんにゃくってこんなにおいしかったんだ!」とうれしい声をもらうことも。「当社の商品は必ずしも安くありませんが、高い評価をいただくのには理由があるんです」(佐藤社長)と、いくつものこだわりがあります。
ひとつは、昔ながらの製法を守っていること。一部機械化されているものの、カットや結びなどの工程は創業から変わらず手作業です。「不思議と人の手が入るほうがおいしいんですよ。仕上がりも機械より正確で美しいです」(佐藤社長)と、職人技術に絶対的な自信を持っています。
もうひとつは、「佐藤商店のこんにゃく」という板こんにゃくに『アク抜き』の工程をていねいに行っていること。製造過程であく抜きの工程を入れているこんにゃくは珍しいそうで、「料理の味を左右するといっても過言ではない大切な工程。このひと手間こそがこだわりです」と佐藤社長。アクはえぐみや苦みのもとになるため、調理前にアク抜きをするのが一般的ですが、同社では釜で一晩煮込むことでアクを抜いてからパッケージしているため、水洗いだけでそのまま食べることもできます。
近年の人気商品『こんにゃく冷麺』
カットや結びなどの工程は創業から変わらず手作業です
職人技術に絶対的な自信を持っています
不思議と人の手が入るほうがおいしいんですよ。仕上がりも機械より正確で美しいです
糸こんにゃく
純国産結び糸こんにゃく
ジャパニーズフードとして世界が注目。新たな市場が拡大中。
健康志向やダイエットブームによって、海外ではここ10年ほどでこんにゃくがヘルシーフードとして注目され、世界中に市場が広がっています。「糸こんにゃくがパスタに、ライス型のこんにゃくがチャーハンやスイーツになど、日本とは違う楽しみ方をされているようです」。
ヨーロッパやオーストラリア、アメリカなどのスーパーではこんにゃくが販売されていることが普通になってきたそうです。同社でも2004年に貿易専門商社として『有限会社せんしん』を立ち上げました。
大豆との組み合わせで驚くべき相乗効果が!
日本でもこんにゃく麺は、健康食として以前から人気がありました。市場が低迷する中、新たな商品を常に模索してきた佐藤社長。海外の展示会に参加した際に、フランスのお客様からの依頼をきっかけに誕生したのが、こんにゃくと大豆を原料とした新しい麺製品『ソイデヌードル』です。
「こんにゃくは低カロリーだけど栄養価が低い。一方大豆は高たんぱくながら糖質を下げることが難しかったんですが、2つを合わせると“高たんぱくで低糖質”が実現しました」。
1食あたりタンパク質21.6g、食物繊維10.9gという栄養価ですが、乾麺の状態だと5.8gある糖質が、ゆでると0.5gにまで減少。長年大豆麺を製造してきた研究員も驚く結果がでました。男性向け健康雑誌にも掲載され、海外のみならず国内のフィットネス業界でも需要が伸びています。
「減量中や筋肉をつけたい人にとって糖質制限しながら栄養を摂れる食品には限りがありました。さらにおいしさを追求するとなると、とても難しかったんです」と改良を重ねた結果、『おいしくてヘルシー』を実現。「おいしいからこれを買いたい」と味で選んでくれるファンも増えています。
こんにゃくと大豆を原料とした新しい麺製品『ソイデヌードル』
100%大分県産の食材を使った、全国に自慢できる商品をつくりたい
日本の食文化を後世へ残すべく奮闘を続ける佐藤社長の夢は、「100%大分県産食材のこんにゃくをつくる」こと。原料となるこんにゃく芋のほとんどが主要産地である群馬県産。『大分のこんにゃく』という商品には近隣農家が育てた大分産を使用していますが、すべての商品を大分県産で作るには量が足りません。かつて存在していた大分県在来種のこんにゃく芋復活にも強い思いを持っています。
食材が豊富な大分県だからこそできる商品も展開していきたいといいます。「例えば、豊後牛とニラとこんにゃくをあわせて“大分物産セット”にした鍋の素やレトルト、柚子胡椒とさしみこんにゃくの組み合わせとか。手間をかけずに大分食材を楽しめる商品で全国にPRしてみたいですね」と、相乗効果で大分県産品のさらなる拡販を目指しています。
純国産結び糸こんにゃく、純国産生芋手結びこんにゃく
糸こんにゃく、きんぴらこんにゃく、板こんにゃくなど様々な種類のこんにゃくを作っています
有限会社佐藤商店
PROFILE
- 設立年月
- 1989年3月
- 代表取締役
- 佐藤 達矢
- 事業内容
- こんにゃく製品の製造・卸販売
CONTACT
- 住所
- 由布市庄内町大龍2633-3
- TEL
- 097-582-0134
- FAX
- 097-582-0492
- メール
- sato-shoten@chorus.ocn.ne.jp
- HP
- https://sato-shoten-yufu2.jimdo.com/