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株式会社櫛野農園- 桃栗3年、柿8年、柚子はゆうゆう18年。

自然の恵みを地域のチカラに。地元を元気にする特産品。株式会社櫛野農園 [ 大分県宇佐市 ]

  • カテゴリ
  • 農産物加工
  • 柚子
  • 調味料

宇佐地域では、昔から家庭料理のひとつとしてなじみのある『柚子胡椒』。今やその名は全国区となり、大分県を代表する名物のひとつです。柚子の栽培から手がけ、自社工場で丁寧に作られる加工品を多数開発している『櫛野農園』では、徹底した品質管理と独自製法により、香り高く風味豊かな柚子胡椒を作っています。

取締役会長 櫛野 正治さん

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「地元を盛り上げたい」という思いからはじまった『柚子の町づくり』

『櫛野農園』がある大分県宇佐市といえば、ぶどうやすっぽんなどさまざまな特産品がありますが、院内町には以前、これといった特産品がありませんでした。昭和48年頃、当時の町長や果樹組合の人々が、山に自生する柚子を発見。「柚子を特産にしてはどうか?」という提案により、院内地区にある“鍵山”を開墾し、6つの農家に割り当てられた合計6町歩の畑に苗木を植栽し、本格的な柚子栽培がスタートしました。

当時その農家の一人だった会長の櫛野正治さん。柚子栽培の知識がほとんどなかった櫛野会長が試行錯誤しながら育てた柚子は現在、多いときで1年に約70トンもの収穫量を確保するまでになりました。

しかしここまでの道のりには、たくさんの苦労もあったと振り返ります。「桃栗3年、柿8年、柚子はゆうゆう18年、なんていう言葉があるくらいですからね()。他の果樹に比べて実を収穫できるまで時間がかかります。さらに私が割り当てられた畑は痩せた土地でしたから、土を改良するところからはじまって、4年目にやっと7個の実がつきました5年目に4000個、6年目に15000個と、年を重ねるごとになんとか実を付けるようになったんです」(櫛野会長)

その後、櫛野会長を含めた柚子農家の努力が形となり、『柚子といえば院内』として、西日本有数の産地になりました。院内は山間地で寒暖差も大きいことから、大ぶりで香りの高い柚子が育つそうです。柚子には香りを求めるニーズが高く、この点においても院内は栽培に最適な地だったといえます。

櫛野会長が試行錯誤しながら育てた柚子

櫛野会長が試行錯誤しながら育てた柚子

多いときで1年に約70トンもの収穫量を確保するまでに

多いときで1年に約70トンもの収穫量を確保するまでに

ゆずの需要をさらに高める加工品のルーツは、地元のお母さんの味。

最盛期には120軒ほどあった柚子農家ですが、高齢化や後継者不足などを理由に現在70軒ほどに減ってしまいました。櫛野農園では、やめてしまった農家から柚子園を借り受け、面積を拡大しながら生産量を増やしていて、耕作放棄地対策にも取り組んでいます。

当初、青果での出荷のみを行っていましたが、柚子の価格が最盛期の16までに減少したことも。「自然相手ですから、収穫量が大幅に減る年もありますし、青果で出荷できないキズものなんかもできるんですよ。青果を販売するだけではやっていけないと思いはじめました」と、櫛野会長が取り組みはじめたのが、加工品の開発です。

自社加工品の第一号『ゆずごしょう(青)』は、櫛野会長の祖母や母親が、庭で育った柚子の実を使って作っていた家庭の味をヒントに開発されました。昔は庭に柚子の木を植えている家庭も多く、自家製の柚子胡椒をつくるお母さんも多かったそうです。そのような歴史があることから、大衆に愛される味を目指して作った商品です。

その後、全国各地の展示会に参加するようになり、都会では柚子の加工品に“香り”を重視するとわかってきたことから、より香りの高い『ゆずごしょう極上』『ゆずごしょう極々上』を開発し、お客様ニーズに応える商品ラインナップが増えていきました。

 

「もっと辛い柚子胡椒を」という声から生まれた『ゆずごしょう()』シリーズは、完熟した黄色い柚子に、宇佐市産の唐辛子をたっぷり使った“オール宇佐市産”の商品です。また、地元の食堂を営む女将の、「うちのだんご汁に入れるには、粉末の方がお客さまに使ってもらいやすい」という声から、パウダー状にした『ゆず七味』を開発するなど、柚子を使った多数の商品展開で、お客様の声に応えています。

柚子本来の“香り”を残した柚子胡椒にするために欠かせないのが、『石臼で練り上げる』という行程です。剥いた皮を細かく刻み、塩と合わせて何度もあく抜きを繰り返したものを、最後に石臼でじっくりと練り上げていきます。

この最後の一工程は同社独自の製法で、「辛さの角がとれてまろやかになり、変色もしにくいんです」と櫛野会長。研究の末にたどり着いた独自の製法により、少量でも豊かな香りが広がるオンリーワンの柚子胡椒が生まれました。

家庭の味をヒントに開発されたゆずごしょう

家庭の味をヒントに開発されたゆずごしょう

お客様ニーズに応える商品ラインナップが増えていきました

お客様ニーズに応える商品ラインナップが増えていきました

柚子本来の“香り”を残した柚子胡椒にするために欠かせないのが、『石臼で練り上げる』という行程

柚子本来の“香り”を残した柚子胡椒にするために欠かせないのが、『石臼で練り上げる』という行程

柚子を使った多数の商品展開で、お客様の声に応えています

柚子を使った多数の商品展開で、お客様の声に応えています

農家だからできる、柚子のおいしさを発信して町おこしを。

同社では、皮むき、果汁搾り、スライス、粉末化、冷凍、真空など、加工に必要な主工程のほとんどに対応できる自社工場を完備しているのが強み。これには、「独自の味を自分たちで表現し、伝承していきたい」という思いがあるからです。

柚子胡椒以外にも、ゆずティー、ドレッシング、ビネガーなどさまざまな加工品を製造していて、果汁や皮など素材提供の依頼も多く受けています。

柚子農家でもある櫛野会長の思いの根底にあるのは、「院内の柚子をもっと多くの人に知ってもらうこと」です。その思いを受け継ぎ、2代目社長に就任した息子の光正さんは、専門学校を卒業後、料理人として修行を積んでいました。「いつかは継ぐんだろうな、というくらいの考えで、本当は料理人として自分の店を出したかったんです」と笑う光正さん。

自社の味や製法を受け継ぎながら、料理人としての腕を発揮する場所として、“農家レストラン”を開くことを計画中だといいます。「この地域には飲食店が少ないし、加工品だけでは伝えきれない柚子の魅力を知ってもらえる料理やスイーツを提供したいです。観光の拠点や、地域の人の憩いの場にもなるとうれしいですね」と光正さん。農家と料理人、それぞれの視点で柚子の魅力を表現することで、さらなる柚子の消費拡大を目指しながら、地域活性の場としての活用も期待されています。

要な主工程のほとんどに対応できる自社工場を完備しているのが強み

要な主工程のほとんどに対応できる自社工場を完備しているのが強み

2代目社長に就任した息子の光正さん

2代目社長に就任した息子の光正さん

くしの農園

株式会社櫛野農園

PROFILE

設立年月
1991年6月
代表取締役
櫛野光正

CONTACT

住所
宇佐市院内町櫛野661-4
TEL
0978-42-5650
FAX
0978-42-5750
メール
info@kushino-nouen.com
HP
http://kushino-nouen.com/

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