多彩な商品ラインナップで
地域の食文化を後世に伝えるフンドーキン醬油株式会社 [ 大分県臼杵市 ]
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『生きてるみそ』『ゴールデン紫』など、九州・大分の食卓に欠かせない商品を通じて九州トップブランドの地位を確立している老舗企業。昔ながらの製法を大切にしながら、ドレッシング、ぽん酢、柚子こしょうなど、手軽に使える調味料も主要事業のひとつに。商品を通じて“地域の味”を後世へ伝えています。
代表取締役会長 小手川強ニさん
醸造文化が根強い臼杵市で、酒づくりから醤油づくりへ
慶長5年(1600年)、美濃国(現在の岐阜県)から移封された稲葉藩主とともに臼杵に来た商人がはじめた味噌醸造が起源とされる醸造の歴史。以来、味噌・醤油・酒の醸造文化は現代へと受け継がれています。醸造や発酵をはじめ、質素倹約の食文化や、有機栽培の促進、郷土料理の継承など、食に関する独自の文化が根づいた地域として、2021年にはユネスコの「食文化創造都市」に認定されました。
そんな食文化のまちで創業した『フンドーキン醬油』の前身は、安政2年(1855年)創業の酒蔵『小手川酒造』。酒造りの閑散期に、古い酒桶で醤油をつくったことがはじまりでした。その後、文久元年(1861年)に分家し、『合資会社小手川商店』に改組しました。
大分県はもとより、九州を代表する老舗企業。現在5代目まで歴史がつながれています。
「当社より長い歴史を持つ味噌醤油屋さんによって、当時最新の醸造技術がもたらされたことが、臼杵の醸造文化の基盤になったそうです」と教えてくださったのは、5代目の小手川強二会長。酒から醤油へ―。つくるものは変わりましたが、九州の食卓を支える企業として160年以上の歴史を重ねてきました。
臼杵市のシンボル的な場所でもあるフンドーキン醬油本社の工場。
「地域の味」を大切にした商品づくり
九州で広く使われている“麦味噌”は、麦を原料につくられた味噌で、白っぽい見た目が特徴。しかし、臼杵市をはじめ、おとなりの三重町や竹田市では昔から“赤味噌”を使う家庭が多いそうです。
このように、味噌や醤油は地域によって好まれる味が異なることから、先代の⼩⼿川⼒⼀郎社長には「地域の味に合わせなければならない」という強い意思がありました。“自分たちの味”を押し出すのではなく、“各地域の人に選ばれる品揃えを”という考え方は、のちの会社の成長に大きな影響をもたらします。現在、九州で販売している醤油だけでも70種類以上を製造しているそうで、同社の醤油や味噌の味が“家庭の味”として根付き、多くの消費者に選ばれています。
徹底した品質管理と安定した生産体制で、安心・安全な商品を全国各地へ届けています。
業界初の防腐剤無添加味噌、醤油の開発に成功
1968年の高度経済成長期に、『フンドーキン醬油株式会社』へ社名を変更。翌年には、業界初の“防腐剤無添加味噌”の開発に成功します。温度や湿度、酵母や乳酸菌といった菌の管理など、自然のチカラによって味や品質が左右される味噌。流通や販売の規模拡大を図るためには、防腐剤無添加で製造することは高い技術力と品質管理力が必要とされますが、創業以来培ってきた独自のノウハウをいかし、開発に至りました。
この防腐剤無添加味噌は『純生』の名で発売。現在はネーミングを『生きてるみそ』と変え、同社を代表する商品として不動の人気を集めています。
この技術は醤油づくりにも応用され、1971年には防腐剤無添加醤油『赤いキャップのゴールデン紫』を発売。「当時は食に対する安全意識の高まりもあり、売り上げを後押ししました」。おいしさはもちろんのこと、食の安心・安全を意識する消費者に選ばれ、今も主力として売れているロングセラー商品です。
その後、日本生協連九州支所の「九州ブランド」として商品が採用されたこともあり、『フンドーキン』の製品は全国へと広がっていきます。
1968年に発売され、今も食卓に欠かせない存在として人気の『生きてるみそ』。
ドレッシングが大ヒット。その後の多彩な商品展開のきっかけに
1977年には、九州ナンバーワンシェアを誇るまでに成長しましたが、食の西洋化によって市場はピークに。「私が入社した1984年は味噌・醤油の製造が9割を占めていましたが、市場縮小の局面にありました」。安ければ売れるものの、利益率は下がってしまう…。そんなジレンマを抱える中で、新商品開発チームが発足されます。
毎年100以上の新商品を開発するも、なかなかヒットには結びつかず。この状況を打破するべく小手川会長は自身の社長就任と同時に、“新商品開発チームの改革”を実践します。利益率や最低製造量の見直し、ターゲットの絞りこみなど、明確な基準を設定しました。
思い切った経営改革で、軸となる新たな事業の確立を成功させた小手川会長。
「核になるブランドづくり」を目標に、トレンドにアンテナをはっていたところ、注目したのがドレッシングでした。最初に誕生した『醤油ドレッシング』が、発売初年度に売上8000万円の大ヒットを記録。売上は順調に増加し、事業柱のひとつとして確立されます。その後に発売した『深煎り焙煎ごまドレッシング』もヒットし、ドレッシング専用工場の規模も拡大しました。
東京や大阪でも売上を伸ばしていましたが、製造量のバランスや商品展開拡大のためにあえて都心から撤退。自社ブランドの確立に向けて、集中型の製造に切り替えました。ラインナップも増え、現在ドレッシングは全体で年間40億円強にまで売上を伸ばしています。
サラダにかけるだけではなく、肉や魚料理、パスタなど、万能に使えるドレッシング各種。アレンジレシピも公開しています。
ギネス認定!原点を追求した「世界一木樽醤油」でブランド力を強化
市場のピークをチャンスととらえ、高級路線への転換を試みます。「醤油と味噌でワンランク上の世界を目指す挑戦です」と、付加価値の高い商品づくりに着手。これが、「昔ながらの木樽(木造醸造樽)で醤油づくりをやってみよう」という、『世界一木樽醤油づくりプロジェクト』です。
手間も、時間も、人手もかかる木樽での醤油づくり。しかし、まろやかさや複雑な香り、深いコクなど、現代の製法では表現できない、ひと味違う醤油がつくれるのだそうです。
カナダ産ヒバや吉野杉を使った木樽は全部で16基あり、木樽ごとに香りや味わいが異なります。そのうちのひとつは高さ・直径ともに9メートルの大きさで、540klもの量の製造が可能。『世界一の木造醤油樽』として、2007年にギネス世界記録に認定されました。
世界一の大きさを誇る木樽でつくる醤油は、甘さひかえめでまろやかな味わいが特長。
この木樽で仕込んだ醤油は、『世界一木樽醤油』として商品化。通常のものに比べて5倍以上の価格(1リットルあたり1000円以上)と超高級ながら大ヒットしました。「最初は父が道楽ではじめたようなものでしたが、昔ながらの醤油のおいしさを追求し、社員が一丸となって研究に励んだ結果、当社のブランド力を高めるアイテムがうまれました」。効率や生産性を度外視し、味を追求した高級ラインの醤油。商品の価格帯が広がったことで、日常使いから、ちょっと特別な日や贈答用まで、幅広いニーズに対応できるようになりました。
醤油づくりの原点を追求した『世界一木樽醤油』。次回は2028年に製造予定と、なかなか手に入らない“レア感”もファンの心をつかみます。
“九州の甘い醤油”が関東でも人気に
メディアの影響もあり、九州の甘い醤油への関心の高まりを感じているという小手川会長。「関東のお客様から、当社で一番甘い醤油の注文が増えているんですよ」と、売上は右肩上がりだといいます。この好機をとらえ、関東の営業人員を増やして九州の味をさらに全国へ広げるべく力を入れています。
すでに海外へも進出していて、現在の主な商圏はアメリカと東南アジア。日本の味を浸透させるには課題も多いそうですが、長期的な目標として着実に取り組みを進めています。
卓上醤油、さしみ醤油、すき焼きのたれなど、甘口醤油をベースにしたシリーズ。
地域の良いものを商品に
かつて2000もあった商品は、現在1000ほどに凝縮。また、年間で20の新商品を試作し、既存の20商品を終売させることにより、工場の効率化を維持しつつ新陳代謝を図っています。「新商品には3年の猶予を与え、売れなければ改良か終売を判断します」と少し厳しいように感じますが、常に進化するためには必要な判断だといえます。
生産性向上によって“少数多品種生産”を実現し、OEMの柔軟な受け入れ態勢を整備。小ロットでも相談に応じるなど、「“製造量が少ないからつくれない”ではなく、可能性を感じるものは挑戦します」と、“九州の食文化を発信・継承する企業”として前向きに取り組んでいます。
地域性の高い商品として、にら豚のたれ、りゅうきゅうのたれ、とり天の素といった大分県のご当地グルメのほか、長崎県のレモンステーキのたれ、宮崎県のチキン南蛮の素などの『九州ご当地シリーズ』も人気。九州の味を全国へ届ける調味料として力を入れている商品のひとつです。
店の味を追求したクオリティの高さが自慢。お土産としてはもちろん、地元を離れている人にとっては、「懐かしいふるさとの味」として好評です。
原点にあるのは“ふるさとの味”。「これからも地域の良いもの、おいしいものを伝えていきたいです」と、伝統の継承と改革を繰り返しながら、さらなる歴史を刻んでいきます。
次世代の女子プロゴルファー育成を目的に2013年から開催している『フンドーキンレディース』も、スポーツを通じた地域貢献の一環。
フンドーキン醬油株式会社
PROFILE
- 設立年月
- 1931年6月
- 代表取締役
- 小手川 強二
- 事業内容
- 醤油・味噌・ドレッシング・ぽん酢他調味料の製造、販売
CONTACT
- 住所
- 大分臼杵市大字臼杵501
- TEL
- 0972-63-2111
- FAX
- 0972-63-1505
- メール
- fdk-head@fundokin.co.jp
- HP
- https://www.fundokin.co.jp/

