地域創造を実現するためにたまご屋だからできることをcaprices(カプリセス) [ 大分県竹田市 ]
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くじゅう高原にある養鶏場『グリーンファーム久住』が、竹田市のにぎわいを創造する場としてオープンした『caprices』。自社農場でとれた新鮮たまごのプリン、グルテンフリーのスイーツ、カフェインレスコーヒーなど、体へのやさしさを大切にしたメニューをメインに、子どもからお年寄りまで楽しめるカフェです。
飯田 将さん
カフェオープンのきっかけは、「竹田市の発展に少しでも貢献したい」という思い
文化ホールや公園が近隣にあり、自然を感じられるのどかな場所。やさしい光が差し込む店内はナチュラルテイストで統一され、つい長居してしまいそうな落ち着いた空間です。
2022年8月にオープンした『caprices(カプリセス)』は、竹田市久住町にある養鶏場『グリーンファーム久住』が運営するカフェ。立ち上げたきっかけは、地域に根差した農場になりたい」、「竹田市の発展に少しでも貢献したい」との思いでした。
十数年前までは、農場で直接たまごを販売していましたが、鳥インフルエンザが日本で毎年のように発生するようになり、感染予防のため取りやめていました。しかし、自分たちの生産した物をお客様が嬉しそうに買い求めていただける様子は、生産者冥利に尽きる瞬間ですし、より良いものを作ろうという気持ちになります。顔の見えない販売の割合が増える中、いつかは直接販売する場所を持ちたいという気持ちがずっとありました。
また、当社は約60年前に地域振興を目的に創業した歴史があります。少子高齢化の進む竹田市で今できることは何だろうというずっと考えていました。そこで、若者や子育て世代が気軽に集えるコミュニティ的な場所を作り、少しでも暮らしやすい地域に繋がれば、との考えも重なり、農場から少し離れますが児童公園を目の前にする竹田市中心部でのオープンに至りました。
現在は、子どもから年配の方まで誰もが気軽に立ち寄れる地元の憩いの場として、また竹田市の新たな立ち寄りスポットとして、少しずつ知名度を上げています。
店内はナチュラルテイストで統一
店内の様子
こだわりたまごをつくり続けて60年。『グリーンファーム久住』のこと
同店で使用する素材の特徴のひとつが、『たまご』です。運営母体でもある『グリーンファーム久住』で大切に育てられた平飼いたまごを使用しています。
標高700m、くじゅう高原を一望する場所にある『グリーンファーム久住』は1963年に創業。生後間もないヒナのうちから健やかでたくましく成長できるよう、自由に体を動かせる平飼いで飼育。えさ、水、土壌づくり、衛生管理と、母鶏にとって最高の環境を整えるために改良を重ねることで、良質なたまごができあがります。
ストレスフリーな環境で育った母鶏が産むたまごは、「生産背景と美味しさから好評です」。スーパーに並ぶ一般的なたまごに比べると高価ですが、濃厚なおいしさを求めるファンは全国に。「たまごや鶏を商品としてとらえるのではなく、大切な命としてしっかり向き合う姿勢に感動しました」と話す飯田さんも、考え方や思いに共感して県外から移住し、入社を決めたのだそうです。
運営母体でもある『グリーンファーム久住』で大切に育てられた平飼いたまご
ストレスフリーな環境で育った母鶏が産むたまご
濃厚なおいしさを求めるファンは全国に
たまご農家の直営店だからできる、贅沢なカフェメニュー
高品質なたまごをたっぷり使った看板メニューが『ご褒美プリン』です。何度も試作を重ねて完成したこだわりの一品は、しっかりとした弾力ながらなめらかなくちどけで、たまごの味わいを贅沢に感じられます。自分へのご褒美や大切な人への手土産にとテイクアウトする人も多いそうで、カフェを知ってもらうきっかけにもつながっています。
こだわりのたまごを使った商品は他にも、シフォンケーキ、焼きドーナツ、生パスタ、親鳥カレーなどを提供しています。大分県産の旬の素材を使った期間限定商品は、すぐに売り切れてしまうことも珍しくないそうです。
看板メニューが『ご褒美プリン』
たまごの味わいを贅沢に感じられます
こだわりのたまごを使ったシフォンケーキ、焼きドーナツ、生パスタ、親鳥カレーなどを提供しています。
ビスコッティ、クッキー
こだわりのたまごを使った焼きドーナツ
多くのプロに選ばれているたまごの可能性を広げたい
『グリーンファーム久住』のたまごは、生活協同組合の商品として採用されたり、大分県内外の菓子店やホテルで使われたりと、本物志向の人たちに選ばれています。「大切に育てたたまごをより多くの人に知ってもらうためにも、さまざまな声に応えられる体制を整えていきたいです」と、自社の製造技術をいかした焼菓子やキッシュの生地などの提供も視野に、さらなる需要拡大を目指しています。
カフェをオープンしてからは、消費者と直接対話できる機会が増え、「おいしい」という声がダイレクトに聞けるようになりました。カフェへの来店をきっかけにたまごのファンになってくれる人も多く、「決して安くないのに、毎週のように買いに来てくださるお客さまもいます。冷蔵庫に入っているだけで安心できるし、明日の朝ごはんが楽しみに思える。生活の質をワンランク豊かにしてくれる存在なんです」と、飯田さん自身もはじめて食べたときの感動体験が、自信を持っておすすめできる理由のようです。
故郷にあるカフェとして、“続けていくこと”を使命に
「カプリセスは、グリーンファーム久住がこれまで築いてきた歴史の第二章。地域に根付いたカフェとしてさらに盛り上げていきたいです」。地元の人が集う場所であり、子ども連れの憩いの場であり、市外から訪れる目的地であり…と、多くの人にとって欠かせない場としてあり続けることが目標です。特に、高齢化が進む竹田市では、進学や就職で地元を離れる人が大半。だからこそ、「故郷のシンボル的なスポットとして変わらずにこの場所にあることが、私たちの役割だと思います」。
地元コーヒー専門店のコーヒーや菓子店の焼菓子の販売や、地元作家の器を使うなど、「竹田市のアンテナショップ的な役割も果たしたいです。いつかカフェの庭で、ひよこや鶏とのふれあい体験なんかもやってみたいんですよね」と、竹田市でがんばる人たちと連携しながら、にぎわい創造の場にするための構想を楽しそうに話してくれた飯田さん。人が集まれば雇用が生まれ、地域の活性化にもつながるはずと、地元竹田市で事業をする意味をとらえています。
『なければつくればいい!』というポジティブな発想から生まれたカフェは、さまざまな声に耳を傾けながらますます進化していく予感。竹田市だから生まれるものを、たまご屋さんの直売店だからできることを。これからも『安心・おいしい・楽しい』を追求する取り組みは、ますます加速していきそうです。
笑顔を繋ぐお店へ
caprices(カプリセス)
PROFILE
- 設立年月
- 2022年8月9日
- 代表取締役
- 荒牧 大貴
- 事業内容
- カフェ運営、菓子製造・販売
CONTACT
- 住所
- 大分県竹田市拝田原234-1
- TEL
- 070-3163-6892
- メール
- m.iida@kuju-egg.jp
- HP
- https://kuju-egg.jp/