湯布院が持つ発信力を武器に食から伝える大分の魅力株式会社アイランドスケープ [ 大分県由布市 ]
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湯布院の人気観光地『金隣湖』のほとりに建つベーカリーカフェ『CAFE LA RUCHE(カフェ・ラ・リューシュ)』。観光客でにぎわう店内では、焼きたてパンや自家焙煎コーヒーを楽しめるほか、アートイベントや展示もおこなっています。近年では地元産食材を使ったレトルト商品や冷凍パンなどの開発にも力を入れています。
代表取締役社長 伊藤剛好さん
アートと食のコラボ空間で育む、人とのつながり。
県内外から多くの観光客が訪れる湯布院にある『CAFE LA RUCHE』は、『シャガール美術館』としてスタートし、食の分野へと事業を拡大していきました。現在は1階にベーカリーカフェ、2階にギャラリースペースを展開しています。
カフェの立ち上げメンバーとして現場に携わってきた代表の伊藤剛好さん。「仕込み、調理、接客、結婚式のプランニングなど、あらゆることを手がけてきました。大変でしたけど、そのときの経験が今につながっています」と原点を振ります。カフェでの活動のみならず、湯布院のまちづくりイベントへの出店など、湯布院を盛り上げる活動にも積極的です。
店名の『ラ・リューシュ』は、マルク・シャガールが住んでいたパリの集合住宅の名前が由来だそうで、「日本でいうトキワ荘みたいな感じでしょうか。芸術家たちが住むサロン的なアパートだったようです」と伊藤さん。ご自身も、「建築を勉強していたこともあって、アートやグラフィックが好きなんです。その関係から音楽やアートに関わっている友人も多くいます」と、これまで築いてきた人とのつながりから、音楽・食・アートなど、各分野の専門家を招いたイベントも定期的に開催。パリのラ・リューシュがそうであったように、『つながりが生まれる場』としての役割も果たしています。さまざまな分野の人がつながることで生まれたアイデアから、さらなるイベントや商品開発へと発想がふくらむことも多いそうです。
店名の『ラ・リューシュ』は、マルク・シャガールが住んでいたパリの集合住宅の名前が由来
1階にベーカリーカフェ、2階にギャラリースペースを展開している
『食』から広がる、湯布院の思い出や憧れを。
2020年にはカフェをリニューアルし、パン工房を新設。看板商品の焼きたてクロワッサンをはじめとした自家製パンのイートインやテイクアウトが可能です。また、自家焙煎コーヒーや県産有機野菜を使ったランチなど、大分のおいしいものを提供するために趣向を凝らしたメニューを提供しています。
パンもコーヒーも、自分たちでイチから手がけられるようになったことで、こだわりはさらに加速。「全ての食材を大分県産で揃えようと思えば揃います。大分にはこだわりを持った生産者さんが多いんです」と、食の宝庫大分の魅力を発信したいという思いを強く持っています。
観光地という場所柄、これまでは“待ち”の姿勢で来店客をターゲットとした商品づくりが主でした。しかし、2018年頃からBtoBを意識した開発を進めていたところ、コロナ禍によるインバウンドの減少も重なり、開発を加速。急速冷凍庫の導入で、焼きたてのおいしさをそのまま家庭に届けられる冷凍パンの商品化に成功しました。ECサイトでの販売の他、大分市内の百貨店でも冷凍パンシリーズとして販売していて、お中元やお歳暮としての需要も高まっているそうです。湯布院に来たことのある人には思い出がよみがえる商品として、まだ来たことのない人にはいつか行ってみたいと思ってもらえる商品として、『食から広がる湯布院』を全国に発信しています。
2020年にはカフェをリニューアルし、パン工房を新設
自家製パンのイートインやテイクアウトが可能
自家焙煎コーヒー
看板商品の焼きたてクロワッサン
急速冷凍庫の導入で、焼きたてのおいしさをそのまま家庭に届けられる冷凍パンの商品化に成功
レトルト商品の開発強化中。小規模ながら充実の設備でOEMにも対応。
近年はレトルト商品の開発に力を入れています。同社では高圧殺菌機や真空包装機を所有していて、料理人や企業からの依頼が増えているといいます。OEMの相談も少しずつ増えているそうで、開発進行中の商品も多数。「大きな規模ではありませんが…」と伊藤さんは謙遜しますが、小ロット生産だからこそ、生産者や料理人の思いに寄り添った商品づくりが可能だともいえます。
OEM商品としては、大分市野津原にある『ライスアルバ』が生産している大分県産米で作った米粉と、大分市唯一の酒蔵『倉光酒造』の酒粕を使った『酒粕かりん』があります。「米粉の扱いが難しくて苦労しました」と笑いながら振り返る伊藤さんですが、生産者の思いやこだわりを付加価値としてプラスした商品が、大分の食を発信するアイテムのひとつになっています。
大分市唯一の酒蔵『倉光酒造』の酒粕を使った『酒粕かりん』
料理人や生産者の思いを詰め込んだ湯布院の味を届けたい。
「まだ広く知られていない大分のおいしいものを伝えたい」という思いから生まれた商品のひとつが、湯布院産の原木椎茸を使ったディップやオイル漬けです。自社ブランドとして瓶詰めの商品を展開する『8(エイト)』シリーズの一品で、湯布院町にある『湯布院きのこ村』の椎茸のおいしさに感動し、より多くの人に知ってほしいと加工品に。カフェではバケットに塗ってタルティーヌとして提供しています。フードショーでも好評だったそうで、冷凍タルティーヌの商品化にも取り組んでいるそうです。
伊藤さんは、生産者の元に足を運ぶことにもこだわっています。湯布院の酪農家や農家を訪ねると、「こだわりや生産の苦労話など、作り手の本音が聞けます。コミュニケーションを重ねた上で仕入れるので、開発にも力が入りますね」といいます。今注目しているのは、由布市で作られている温泉の蒸気熱で作る豆乳。地元でしか作れないという特別感が、価値を高める商品になりそうです。
湯布院産の原木椎茸を使ったディップやオイル漬け
自社ブランドとして瓶詰めの商品を展開する『8(エイト)』シリーズ
湯布院の名に恥じない、良いものを。目指すは『濃厚で小さな直売所』。
全国、世界の観光客を迎える湯布院には、最高級のおもてなしを求める客の要望に応えるプロが集結しています。「湯布院の現在地を築いてきたレジェンドの皆さんに多くの教えをいただきました。先輩方に恥じないような店をつくっていきたいですね」。強い思いを持った次世代の若手たちがまちを守りながら、新しい発想でさらなる地域発展を目指しています。
「県産食材の良さを知ってもらえる機会を増やしたい」と話す伊藤さんの展望は、カフェを小さな直売所のような役割を果たす場所にすること。つながりをもたらすカフェが持つ力を利用しながら、『大分の良いもの』を発信し続けます。
つながりをもたらすカフェが持つ力を利用しながら、『大分の良いもの』を発信し続けます
株式会社アイランドスケープ
PROFILE
- 設立年月
- 2018年10月
- 代表取締役
- 伊藤 剛好
- 事業内容
- カフェ運営事業、アート&クラフト事業、コーヒー焙煎販売事業、パン事業、レトルト食品事業、ブライダル事業、物販事業
CONTACT
- 住所
- 由布市湯布院町川上1592-1
- TEL
- 0977-28-8500
- FAX
- 0977-85-5144
- メール
- info@cafelaruche.jp
- HP
- https://cafelaruche.jp/