食品関連企業を強力にバックアップ 大分の食品産業界を支える、 影の立役者フーズテクニカルサービス [ 大分県大分市 ]
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大分の食品産業界に“この人あり”と言わしめる食品技術コンサルタントがいます。その名は弘蔵守夫さん。大手食品メーカーに17年勤務した後、昭和61年に食品技術全般をサポートする個人経営のコンサルティング会社「フーズテクニカルサービス」を設立。以来30年以上にわたり、大分の“食”を支え続けています。
代表取締役社長 弘蔵守夫さん
“知らない人はいない”といっても過言ではない存在
「中小の食品関連企業の場合、品質管理や商品開発まで手が回らないことが多いんです。機材や人材を揃えるのは簡単ではないし、時間も足りない。それならば、と外部にサポートを求めようと思っても、県内には食品加工についてわかる人、アドバイスできる人はほとんどいません。必要性を強く感じました」。やわらかな笑顔で会社設立のきっかけを話す弘蔵さん。
裏方に徹しているため、表に名前が出ることはありませんが、企業とタッグを組み、生み出した商品は星の数ほど。立ち上げからサポートし、とある分野で日本トップの売り上げに導いた企業もあります。「個人経営のいいところは、絶対に機密が守れるところ」という弘蔵さんは実績やクライアントについて具体的に語ることはありません。しかし、行政から協力を求められることも多く、大分の食品産業界に精通した人であれば“知らない人はいない”といっても過言ではない存在なのです。
商品開発から生産設備に関することまであらゆる側面をサポート
弘蔵さんの業務は多岐に渡ります。手がける品目は酒類を除く全て。求めに応じて商品開発から、品質検査、試験研究、技術開発、クレーム対応、さらに生産設備に関することまであらゆるサポートを行います。経験豊富な食品技術コンサルタントであっても、弘蔵さんのように生産設備のことにまで言及できる人は滅多にいません。「この機械はワンランク下げても問題ない」「この用途ならこのメーカーに」など要望・投資能力に応じた具体的なアドバイスで業務の効率化やコスト削減に貢献するだけでなく、なんと現場の声を受け、食品機械メーカーと共同で生産設備の開発を手がけることもあるというから驚かされます。
現在契約しているのは県内企業を中心に20社ほど。加えて、看板を掲げていないにもかかわらず、単発の相談が毎日のように舞い込みます。「こんなものをつくりたいが、どうすればいいか」「素材の選定をしてほしい」「賞味期限を長くするには?」「レシピを考案してほしい」など、多様な相談に、一つ一つ丁寧かつ具体的に答えていく弘蔵さん。言いよどむことは一度もありません。「コンサルタントが答えられないなんてあってはならないこと。食品産業界は常に動いていますから、日々勉強です」。本棚にずらりと並ぶ食品関連の専門書籍は日進月歩の業界に身を置く弘蔵さんが“積み重ねた努力の証”なのです。
本棚にずらりと並ぶ食品関連の専門書籍
テクニックがちりばめられた弘蔵流の商品開発
「大手に比べて設備面で劣る中小企業は商品の中身で勝負するしかない。そのためには素材にこだわり、加工技術で商品価値を高める必要がある」と考える弘蔵さんは県内の企業と手を組み、特色ある大分名産をいくつも生み出してきました。ドレッシング、菓子類、調味料など、デパートや道の駅、土産物店を覗けば必ずといっていいほど一つ、二つ弘蔵さんが手がけた商品が目につきます。中には爆発的なヒットを記録したものや、何年、何十年と愛されるロングセラー商品も少なくありません。
商品開発について「時代や消費者の動向を見ながら、なにを、どこに、どう売るのかを話し合い、アイディアをカタチにし、その後試作、試食を繰り返しながら完成形に近づけていきます。並行して採算性の検討や、場合によっては研究も必要です」とプロセスの重要性を語る弘蔵さんですが、でも…と言葉を続けます。「時間も予算も限られている中小企業の場合、そこまで手がかけられないことがほとんど。持ち込まれた食材でいきなり試作してみることもしょっちゅうです」。プロセスを短縮できるのは、“テクニック”の賜物。ジャムを例に挙げると、煮詰める前に味の調整を行うことで試作の手間を大幅に削減したり、そもそも手間のかからないレシピを考案したり…。
個人経営のコンサルティング会社ならではの柔軟な対応、豊富な知識と経験に裏打ちされたテクニックが、様々な制限のある中小企業の商品開発を支えているのです。
さらに、このテクニックは品質管理にも大きく影響します。「例えば、今は無添加が売りになる時代ですが、無添加では品質管理が難しいと考える人も多い。しかし、ものによっては製法を工夫すること、つまりテクニックを使うことで添加物を入れなくても、簡単に長期保存を叶えることができます。添加物を否定する訳ではありませんが、入れなくてもいい添加物を入れてせっかくの“売り”を消すなんてもったいないですよね」。悪い素材でいいものはできないが、いい素材でも悪いものはできる。全ては製法次第——。豊かな自然に恵まれた大分県は食材の宝庫にもかかわらず、食材の特徴を生かしきれていないケースがまだまだ多いのです。
「大分のいい食材を使って、特色ある大分名産を生み出し、県内企業をバックアップしたい」弘蔵さんはそのために力を惜しみません。
柔軟な対応、豊富な知識と経験に裏打ちされたテクニックが、様々な制限のある中小企業の商品開発を支えている
製法を工夫すること、つまりテクニックを使うことで添加物を入れなくても、簡単に長期保存を叶えることができる
業務を支える、中堅食品メーカーにも劣らぬ研究室
食品は科学だと断言する弘蔵さんの業務の根幹を支えているのは様々な分析データ。「データは嘘をつきません。分析結果や基礎理論、理屈に基づけば、なぜ日持ちが悪いのか、なぜおいしくないのかなど問題点を迅速に突き止め、改善に着手することができます。これは品質管理、商品開発において最も重要なことです」。必要に応じて、また「気になると調べずにはいられないから」と、コツコツ機材を揃えてきた結果、小さな事務所にはいつのまにか中堅食品メーカーにも劣らぬ研究室ができ上がりました。自社でほとんどの研究を行うことができるため、迅速な対応に加えてコストを抑えることもでき、これも依頼する中小企業にとって大きなメリットになっています。
分析データに基づく改善点は、長年勘と経験で回してきた生産現場では理解されないことも多いそうですが、一つ一つ噛み砕いて説明し、数値による味の違いを知ってもらい…根気強く説得します。上からではなく、押し付けでもなく、同じ目線で「共にやっていこう」という姿勢がクライアントとの間に信頼を築き、強い絆を生み出しているのです。
中堅食品メーカーにも劣らぬ研究室
大分の食品産業界をもっと元気に
コロナ禍においては、テイクアウトやインターネット販売用の商品の開発・相談を求められることも増え、活動の幅はさらに広がっています。奥様や同じく食品技術コンサルタントの道に進んだ娘さんのサポートがあるとはいえ、おおいた食品産業企業会企画委員、県産業創造機構6次産業化サポートセンターのプランナー、中小企業庁の専門家派遣事業(ミラサポ)など公的な役職も数多くこなし、食品加工リーダー研修会の講師として製造現場の未来を担う人材育成にも力を入れている弘蔵さんが、丸1日休める日はほとんどありません。それでも「結果が出るのが何よりのご褒美。大分県の食品産業界をもっと元気にしたい」と笑います。大分の食を支える唯一無二の存在はタフで、探究心旺盛。まだまだ走り続けてくれそうです。
フーズテクニカルサービス
PROFILE
- 代表取締役
- 弘蔵 守夫
CONTACT
- 住所
- 大分県大分市上野丘2丁目12-34
- TEL
- 097-544-1145