おいしい椎茸には訳がある株式会社やまよし [ 大分県別府市 ]
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湯の町、別府で乾しいたけの小売と、椎茸の入札市場も兼務する『やまよし』。直営店舗では乾しいたけの量り売りや、おしゃれなパッケージの手土産にもぴったりな商品、オリジナルのだしパック、簡単に使える椎茸パウダーも開発・販売しています。
代表取締役 河内聖藏さん(右)、長男の由揮(ゆうき)さん(左)
生産者から民営市場、小売へ ずっと乾しいたけ一筋
現在は乾しいたけの小売と、椎茸の入札市場も兼務する『やまよし』ですが、以前は椎茸農家でした。その歴史は古く、河内聖藏社長の曽祖父が佐伯市蒲江で椎茸栽培を開始。祖先は、椎茸栽培の方法を日本国中に広めて歩いていたのだそうです。
「日本中に親戚が散らばっているんですよ。中国にも伝えに行ったと聞いています」と社長。佐伯市内や宮崎県内で椎茸栽培を続けたのち、社長の父親が、昭和41年(1966年)に乾しいたけの民間市場の運営を始めました。
その後、近所の人から「ここでも売ってもらえないか」と相談されるようになり、一般の方向けの小売もするようになったと言います。
乾しいたけの小売と、椎茸の入札市場も兼務する『やまよし』
社長の父親が、昭和41年(1966年)に乾しいたけの民間市場の運営を始めました
いい椎茸を仕入れるには、生産現場を知ることも重要
「うちは市場で生産者の方と直接会ってお話しできるので、取引のある全員の顔が分かります。関係性もすごく近いんですよ」と社長。『やまよし』では、生産者や山中の生産現場も訪ねているため、使用している種駒の種類やどのように植菌しているのか、栽培の方法や収穫の様子までを把握しているそうです。
「一般の方には分かりにくいところだと思うのですが、椎茸は、誰がどこでどのように作ってるかというのが、重要なんですよ」と社長。生産者を知ることで、おいしい椎茸を見極めることができるのです。
生産者と近い関係性を作っているから、おいしい椎茸を見極めることができている
生産者のこだわりも守りたい
菌床栽培が多くなった椎茸ですが、大分県内では今も原木栽培が主流。『やまよし』が扱っているのも、ほとんどが県内で原木栽培された椎茸です。
そんな椎茸の種駒は低温菌、中温菌、中低温菌と3種類あり、低温菌の椎茸が発芽する温度帯はおよそ8度。寒い中でじっくりと育つ低温菌の椎茸は、「めちゃくちゃおいしいんですよ」と社長。しかし最近は、中低温菌に移行する人も増えてきているそう。「中低温菌の椎茸はたくさんできますが、やっぱり味わいはね。低温菌に比べたら随分と違います」。
国東には、今では使われることが少なくなった低温菌の昔ながらの種駒で栽培を続けている生産者さんがいます。「気候の変化もあって、昔と比べて育てるのは難しくなっているのですが、やっぱりその種駒を使った原木栽培の椎茸は厚みがあっておいしいんですよ」と社長。
干し方も乾燥機で一気に乾かすのではなく、昔ながらも「大型回転室」と呼ばれる部屋の中で、火を焚きながら椎茸を置いた棚を回転させながらゆっくりと乾燥させます。そんな、生産者の思いがこもったこだわりの乾しいたけを、『やまよし』では「香葉(こうば)」という特別な名前で販売。大切に育て旨味や養分もたっぷり詰まった、椎茸らしい味と香りを楽しむことができる乾しいたけです。
大切に育て旨味や養分もたっぷり詰まった、椎茸らしい味と香りを楽しむことができる乾しいたけ「香葉(こうば)」
寒い冬に原木の栄養をたっぷりと蓄えて育った椎茸をじっくり乾燥した「冬茹」
目利きに自信あり
市場をやっているからこそ、目利きにも自信があります。干した状態でも、どんな種類の種駒を使った椎茸なのか、判別できるのだとか。以前、産地偽装で中国産が混ざった干し椎茸が警察から持ち込まれた際も、日本産と中国産を選別できたと言います。
「混ざっているときは一緒に見えたのに。分けてみると、これは素人目にも違いが分かりますね!」と、警察の方も驚いていたそう。そんな目利きの確かさは、買い付けの方々からの信頼の厚さにもつながっています。
乾しいたけのおいしさを、もっと多くの人に広めたい!
長男の由揮(ゆうき)さんが帰郷し店舗や椎茸のPRにも関わるようになったことをきっかけに、3年ほど前に店舗をリニューアル。昔ながらの量り売りスタイルはそのまま残しながら、イートインスペースを新設しました。
「これまで使ったことがない人や、そもそも乾しいたけを知らないという人は、実物を見ても『これおいしそう!』とは思わないですよね。どう使っていいかも分からないと思うので、『まずは乾しいたけに触れてもらいたい』と思って、イートインスペースを作ったんです。手軽に、味や匂いを感じてほしくて」と、由揮さん。
一番人気の椎茸ソフトクリームのほか、大分県産の乾しいたけのおいしさを実感できる「椎豚丼(しーとんどん)」や「椎茸カットステーキ」を味わうことができます。
肉厚の乾しいたけをコンソメスープで戻してから焼いた「椎茸カットステーキ」は、コンソメと椎茸の旨味の相乗効果でより味わいが豊かになり、肉厚な身の歯ごたえも堪能できる一品。乾しいたけのおいしさを再発見できるメニューです。「椎豚丼」と「椎茸カットステーキ」は、冷凍の小売パッケージでも販売。レストランなど、飲食店向けの販売も対応可能です。
長男の由揮(ゆうき)さんが帰郷し店舗や椎茸のPRにも関わるようになったことをきっかけに、3年ほど前に店舗をリニューアル
リニューアルした店舗
大分県産の乾しいたけと、同じく大分県産の「奥豊後豚」を甘辛く味付けた「椎豚丼」は。旨味たっぷりでご飯がすすむ!
「椎茸カットステーキ」。塩胡椒で味を足したり、レモンや大分特産のかぼすをかけてもおいしくいただけます
量り売りの乾しいたけが入った棚は、昔から店舗で使い続けている年代もの。少量ずつ違う種類を買い、食べ比べするのもおすすめ
手軽に使える新商品作りにも意欲的
店舗のリニューアルに合わせ、おしゃれなパッケージの手土産にもぴったりな商品や、オリジナルのだしパック、簡単に使える椎茸パウダーも開発。乾しいたけを自社で粉末にした椎茸パウダーには、木屑などをきれいに取り除いた丸ごとの乾しいたけを使っているため、椎茸の旨味がギュッと濃縮されています。
乾しいたけそのままを砕いたパウダーは、スープや炒め物に使えば旨味がアップ。ローストした乾しいたけを砕いた「ローストパウダー」はしっかり火を入れているので、そのまま味わうことができます。卵かけごはんにふりかけたり、サラダにふりかけたり。いろんなアレンジで楽しめます。
ラーメン店など料理のプロにも人気の「椎茸パウダー」。加熱済みの「ローストパウダー」はふりかけ感覚で使えます
かわいい少量パックは、若い世代にも手に取ってもらえるようになったとか。お土産に人気
乾しいたけの未来のために、その魅力を伝え続ける
実は、今でも地元別府の山中で椎茸栽培を続けている『やまよし』。使う種駒にもこだわり、旨味の濃い「115」という品種だけを使っています。自社で栽培した乾しいたけは、一部の「椎豚丼」や「椎茸カットステーキ」に使われ、店内の量り売りなどでも購入できます。
生産者との良好な関係を築き、生産現場まで知ることで、確かな品質の乾しいたけを仕入れ続けている『やまよし』。これからも乾しいたけのおいしさや魅力を発信しながら、乾しいたけの将来を見据えた取り組みを続けていきます。
生産者との良好な関係を築き、生産現場まで知ることで、確かな品質の乾しいたけを仕入れ続けている『やまよし』
株式会社やまよし
PROFILE
- 設立年月
- 昭和41年4月20日
- 代表取締役
- 河内聖藏
- 事業内容
- 乾し椎茸加工・販売
CONTACT
- 住所
- 大分県別府市西野口町2-2
- TEL
- 0977-21-8111
- FAX
- 0977-21-8113
- HP
- https://www.shiitake-ya.co.jp/