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選ばれるには訳がある
用途に応じた“付加価値”を提案株式会社山英食品 [ 大分県大分市 ]

  • カテゴリ
  • その他食品関連事業

「もの運びではなく、もの選び・もの広め」を信条に、提案型の食品卸を実践する山英食品。国内外の多彩な食品と大分県産品を“用途に応じて”選べる体制に加え、季節感や流行・利便性・生産背景といった付加価値をプラスする高い提案力で、多くの取引先から厚い信頼を得ている。 2018年には地域産業課を設置し、県産品の開拓とともに、生産者と事業者のマッチングや商品開発にも注力。県産カボスを使ったオリジナル商品「トキカボス」は、1年中フレッシュな果汁が楽しめる新感覚のカボス商品として、販路拡大と新たな需要の創出を目指している。

代表取締役 林田 洋介さん

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提案型の食品卸で選ばれる企業へ

山英食品は、1978年の創業以来、大分県を中心に食品の卸売業を展開しています。取扱商品は、乾物、調理加工食品、水産物、農産物、畜産物、生鮮食品、発酵食品、乳製品、防災関連品など多岐にわたり、「扱っていない食品はない」と言っても過言ではありません。取引先も幅広く、飲食店やホテル・旅館、老健施設、冠婚葬祭関連施設など多様なニーズに応えています。

そんな同社の大きな特長は「提案型」であること。「食品卸というと“ただ仕入れて運ぶだけ”と思われがちですが、私たちは一歩踏み込んだ提案型のサポートを行っています。営業担当が顧客管理まで一貫して担うことで、あらゆる業態のお客様のご要望に応える知識と対応力が自然と身につくんです。山英食品は“もの運び”企業ではなく“もの選び”、“もの広め(発掘・発信)”企業であり続けたいと思っています」そう話すのは代表取締役の林田さん。
国内外から最適な食材を選定するだけでなく、季節感や流行、利便性、生産背景やストーリーといった“付加価値”をプラスすることでお客様の課題解決に寄与し、揺るぎない信頼関係を築いています。

倉庫には国内外から仕入れた食品や、特色ある大分県産品がズラリ。インバウンド需要もあり、忙しい日々が続いています。また、2年前からは地域の求めに応じて防災関連品の取り扱いもスタート。消費期限が近いものは社員の福利厚生やフードバンクでの活用を予定しているそう。

自社で低温車(冷凍・チルド対応)を保有。スピーディかつ確実な配送体制を整えています。

大分県産品の魅力、可能性に着目

山英食品のもう一つの強みが、「地域との結びつき」。地域産業課を軸に、大分県産の魅力ある食材の開拓・仕入れ・提案に力を注いでいます。

「もう15年以上前かな。とあるご縁で九重町の椎茸を業務用規格にしていただいたんですが、売れ行きも反応も非常に良くて…。県産品そのものの魅力はもちろん、生産者さんの想いや背景、ストーリーが大きな付加価値になると実感しました。例えば、飲食店で『こんな想いが込められた食材を使ったメニューです』って勧められたら、ストーリーのある料理として心に残りますよね。店側にとっても大きな強みになるんです。

そこから県産品の開拓に乗り出した林田さん。県内の生産者を訪ね歩いて交渉し、農産物・水産物・加工品など県産品の取り扱いを徐々に広げていったといいます。 

2018年には、より県産品にフォーカスを当てるために地域産業課を設立。同時期に、別府市の「別府ちこ堂(現:山英ちこ堂)」を事業承継したことも、県産品への関わりをさらに深めるきっかけとなりました。「もともとちこ堂の県産椎茸の佃煮は当社の人気商品。店主が高齢で引退を考えていると聞き、“この味を絶やしたくない”という想いから事業を引き継ぐことを決めました。

本格的な加工食品を手がけるのは初めて。試行錯誤を重ねて味を再現する過程で、大分県や県産品への思いは一層強くなっていったといいます。
現在も大分県産品の開拓は進行中。最近では紹介を受ける機会も増え、県産品の輪はますます広がりを見せています。

2018年、大分県事業承継・引継ぎ支援センターのサポートのもと、「別府ちこ堂」の事業を承継。写真は大分県産椎茸を使ったちこ堂の「椎茸こんぶ」「椎茸からし」「椎茸味噌からし」。

生産者と事業者をつなぐ存在として

地域産業課は、大分県の生産者と事業者をつなぐ架け橋としての役割も担っています。「大分県産品を扱い始めてしばらくした頃、得意先のホテルから『県産の食材を使いたい』というご相談を受けたんです。その話を生産者さんに伝えたところ、『ぜひ使ってほしい』とすぐに快諾してくれて。お互いのニーズをうまく結びつけられたことで、これが僕たちの役割なんだと改めて実感しました。大分にはまだまだ知られざる良い食材が眠っていますが、発信が苦手な人も多い。そのお手伝いができればと思っています。」

県産品を求めるお客様は1種類ではなく複数を求める場合がほとんど。しかし、個別に複数の生産者とやり取りをするのは容易ではありません。そこで山英食品が間に入り、ニーズをうまくマッチングすることで、双方に大きなメリットが生まれるのです。
最近では、生産者から相談を受けることも増え、規格外品を活用するために加工業者につなぐなど、新たな流通や商品化の可能性も広がりつつあります。

普段、多くの一般食品メーカーの商品を見ているからこそ、「食材をどうアレンジしたらいいのか」というアイデアはどんどん溢れてくるといいます。

もちろん、県産品はこだわりがある分、コストも上がります。だからこそ、国内外の多彩な商品も揃え、お客様が用途に応じて“選べる”体制を整えています。
コスト、量、品質など要望に応じて商品を一から探すこともできるという山英食品に相談すれば、思いもよらない提案を通じて、コストや商品管理の課題を改善できるかもしれません。

大分県産品の魅力を活かした商品開発にも挑戦

大分県の生産者の熱意や素晴らしい産品にふれるうちに、「県産品を使ってオリジナルの商品を作りたい」という思いが湧いてきた林田さん。地域産業課と検討を重ね、県産カボスを液体凍結機で一気に凍らせ、真空パックした「トキカボス」を開発しました。1年中フレッシュな果汁が手軽に楽しめる“新しいカボス商品”として注目されつつあります。

「本来旬の時期が限られるカボスを年間通して販売できると面白いよね、というところからスタートしました。試行錯誤しながら、半年ほどかけてようやく納得できるものが完成したときは嬉しかったですね。」

カボスは旬の時期を過ぎると緑から黄色に変わり、味も変化します。しかし、急速凍結することで1年中鮮やかな緑と新鮮な果汁を保ったまま販売が可能。売れる期間も、商圏も広がるため、会社にとっても大きな可能性を感じるものでした。

トキカボスのトキは「旬」を表す言葉。いつでも旬のフレッシュな果汁が楽しめる商品にぴったりのネーミングです。最近はイベントで販売されるドリンクに使われることも増えています。

「トキカボス」の用途はさまざま。氷の代わりにお酒に入れてカボスサワーにしたり、お水やジュースに入れて爽やかな風味をプラスしたり…。もちろん、解凍してお料理に絞って使うのもお勧めです。現在、常時購入できるのはJAのネットサイトのみに限定していますが、今年に入り製造・販売体制の整備を進め、本格的な販売に向けて動き始めました。

「最近、大手飲料メーカーが缶の中にレモンを一切れ入れた商品を発売しました。お酒と一緒に果実を楽しむという飲み方が一つのジャンルとして確立すれば、トキカボスの需要も増えると思っています。」

今後、「トキカボス」という新しいカボスの楽しみ方が、県内外へゆっくりと、そして着実に広がっていきそうです。

さらにもう一つ、事業承継した「ちこ堂」の椎茸佃煮の新商品開発も進行中。椎茸をモチーフにした遊び心あふれるパッケージ、既存の3種の食べ比べができるアソート仕様と、若い人や海外の人も手に取りやすいようデザインや工夫を凝らしています。
年内の発売を予定しており、県産椎茸の魅力を伝える新たな“大分土産のアイコン”になるかもしれません。

目指すのは、“食の物産展”のような存在

今年に入り、山英食品の商品は東京銀座にある大分県公式アンテナショップ「坐来 大分」にも採用されました。「私たちが続けてきた『もの広め(県産品の発掘・発信)』や『生産者と事業者の繋ぎ役』という取り組みに魅力を感じていただけたんだと思います。また大分から東京都内までは配送コストがどうしてもかかってしまいますが、当社の強みである多種類のストーリーのある県産品をまとめてご提案できるので配送コストの削減にもつながります」と林田さんも確かな手応えを感じています。
最終的に目指すのは、BtoBの“食の物産展”のような存在。山英食品に国内外の“いいもの”が集まり、発信され、広まっていく——そんな姿が当たり前になる日もそう遠くはないのかもしれません。 

「そうなったらもっと楽しくなると思うんです。やっぱり、仕事、楽しくしたいじゃないですか()」。挑戦し続ける林田さんの原動力は、人に寄り添いたいという思いに加え、純粋な好奇心や探究心なのかもしれません。

株式会社 山英食品

株式会社山英食品

PROFILE

設立年月
1978年12月
代表取締役
林田 洋介
事業内容
業務用食品卸

CONTACT

住所
大分県大分市弁天1丁目6番30号
TEL
097-535-0558
FAX
097-538-1918
HP
https://www.yamaei-foods.jp/

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