選果漏れ品に価値を見出し、急成長株式会社スカイファーム［大分県大分市］

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農産物加工

大分市公設卸売市場内に拠点を置き、選果漏れの新鮮なままの急速凍結フルーツを手掛けています。ジャムやスムージーなど様々に加工できる急速凍結フルーツは業界内で大きな注目を集めています。青果卸売業の枠を超えた商品開発にも取り組みんでいます。

代表取締役社長　鈴木亮さん

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生産者の声から生まれた急速凍結フルーツ

異業種から青果卸売業に参入し、大分市公設卸売市場内に拠点を置いて3年。地産地消にこだわるなど、安心・安全・高品質な商品で着実な歩みを進めてきたスカイファーム。2年ほど前に急速凍結フルーツを手がけるようになってからは新たな顧客の開拓にも成功し、業界内で大きな注目を集めています。
急速凍結フルーツ最大のメリットは瞬間冷凍することで細胞の破壊を抑え、新鮮なまま長期間保存できること。凍らせたままなら、なんと1年程度とれたての美味しさを楽しむことができるといいます。ジャムやスムージーなど様々に加工できるため、使い勝手は抜群。国産の流通がない旬の時期以外も新鮮なフルーツが味わえるとあって、少しずつ、しかし着実に需要が高まっています。

急速凍結には選果漏れのフルーツが使われます。これまで規格外の選果漏れ品は生産者に返され、廃棄されるのが一般的でした。生産者には選果漏れ品を活用するすべがなかったのです。「加工技術の問題もあるし、生産者では企業等に必要とされる数をつくることができない。売る場所がなかったんです」(鈴木社長)。
急速凍結には手間もかかります。いちご一つとっても、1つ1つ洗い、ヘタをとり、急速凍結器に並べる。本業である青果卸売業の合間に簡単にできるものではありません。販売ルートの開拓も難しいことから、これまで積極的に扱う業者はほとんどいませんでした。そこにあえて参入したのはなぜか？
鈴木社長は「選果漏れをどうにかしてほしいと声がかかったから。お願いされると断れない性格」とぶっきらぼうに話しますが、その根底にあるのは“生産者のために”。一生懸命な人にはリスクがあっても力を貸したいというまっすぐな想いは人を惹きつけ、自治体やJAを巻き込み、いつのまにか協力者が増えていきました。
生産者も「ここまでしてくれるなら」「お金になるなら」と、選果漏れの中でも一定のクオリテイを保つ品を持ってくるようになり、高品質の急速凍結フルーツが生まれたのです。

急速凍結には選果漏れのフルーツが使われる

大分市公設卸売市場

「選果漏れをどうにかしてほしい」と声がかかり、急速凍結事業に参入

用途に応じて、ベストな提案ができるのが強み

スカイファームは急速凍結フルーツだけでなく、通常の冷凍フルーツも扱っています。「すぐにジャムにするなら急速凍結より安価な冷凍フルーツで十分。何を、どんな用途で使いたいか話してもらえれば、ベストな提案ができます」と鈴木社長。
もちろん、それは急速凍結フルーツに限ったことではありません。「ものを売るなら、現地のことを知り尽くしたコーディネーターが絶対必要」と断言する鈴木社長は、青果卸売業経験の長い中野常務の知恵を借りながら、短期間で青果の旬や流通の仕組みを頭に叩き込みました。

いつ動けば状態の良いものが安価で手に入るのか、どうすればコストを抑えられるのか。その知識を活用できるのが、スカイファームを利用する最大のメリットといえるかもしれません。

鈴木社長と中野常務

大分県の魅力ある青果を様々なカタチで発信

急速凍結フルーツのメイン商品は、大分県が8年の歳月をかけて開発したオリジナルブランドいちご「ベリーツ」。その名の通りスイーツを彷彿とさせる一品で、鮮やかな赤色と芳醇な香り、安定した甘さが特徴。他にもキウイやマンゴーなど、一定の量を確保できることが条件にはなりますが、「選果漏れ品を使ってほしい」という生産者の希望に応じて様々な県産フルーツを扱っています。
同じく、大分県が独自に開発したさつまいも「甘太くん」ペーストも人気商品の一つ。大分県産のべにはるかを40日以上貯蔵すること甘みを高めた甘太くんは、一般的なさつまいもの1.5倍以上の糖度を誇り、大手コンビニチェーンが商品化するほどの美味しさ。こちらは地元のケーキ店や、大手販売業者から多くの問い合わせが寄せられるそう。「今はつくって2ヶ月ほどで売り切れてしまいます。卸はもちろん、いずれはタルトなど最終製品の開発もやってみたいですね」と鈴木社長も大きな可能性を感じています。

急速凍結いちごや、甘太くん(ほし芋)はふるさと納税でも人気の一品。スカイファームは魅力ある大分県産品を様々なかたちで県内外に発信し、その美味しさを広める役目も担っているのです。