原木椎茸の魅力を引き出し消費拡大へつながる商品を株式会社茂里商店 [ 大分県豊後大野市 ]
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創業以来、地元豊後大野市の生産者とともに歩み続けてきた『茂里商店』は、調味料などの加工品開発にも力を入れています。味、食感、栄養価と、トータルバランスの優れた豊後大野市産の原木椎茸が、食卓の定番として愛される食材になるように。生産者の思いまでのせた多彩な加工品によって、原木椎茸の魅力を伝えています。
代表取締役 茂里剛さん
豊後大野市産しいたけの「おいしさ」と「価値」を伝え続ける
全国的にも有名な大分県産の椎茸。特に、原木椎茸の産地として知られ、『乾しいたけ』の生産量は全国ナンバーワンです。豊後大野市は県内でも有数の産地で、品評会ではこれまでに豊後大野市の生産者が多くの高い評価を獲得しています。
「菌床に比べて原木は栽培に手間と時間がかかりますが、そのぶん味も格別。菌床椎茸しか食べたことのない人は、おいしさに驚かれますよ」と茂里社長。原木を育てるのに約15年、こま打ちしてから収穫できるまでに2年かかるという原木椎茸の栽培。それだけ生産者の思いが込められた、愛情たっぷりの産物なのです。
1950年の創業以来、地元生産者が栽培した原木椎茸を取り扱うことにこだわり続けている理由は、先代の思いを受け継いでいるからです。「自転車1台で地域の生産者を回るところからスタートしたそうです。父が築いてきた生産者とのつながりが、今も息づいています」。会社を受け継いでから還暦を越えた今もなお、生産者を訪ねて回ったり、ほだ場(椎茸畑)で栽培をおこなったりと、第一線でエネルギッシュに動き回る茂里社長。“生産者の顔が見える素材しか使わない”という点は、消費者にとっても安心材料です。
菌床に比べて原木は栽培に手間と時間がかかりますが、そのぶん味も格別。
生産者なくしては商売は成立しないからこそ、生産者に寄り添った仕事をしたい
茂里社長の言葉の全てに、生産者に寄り添う姿勢が感じられます。「私たちの商売が成り立っているのは生産者のみなさんががんばってくれているからです。品質の高い椎茸を提供してくださる皆さんには感謝しかありません」。
高齢化に伴う生産者の減少と並行して生産量も年々減っていて、最盛期の半数程度にまで落ちているそうです。幼いころから先代と一緒に生産者のところへ出向いていたという茂里社長。50年以上にわたってお付き合いが続いている生産者もいるそうで、「地域のおじちゃん、おばちゃんたちに育ててもらいましたから、今度は私が恩返しする番。感謝のカタチとしてできることは、産地を守ることだと思っています」と自身の役割をとらえ、後継者の育成や栽培指導などもおこなっています。生産者をはじめ、地域の人との深いつながりを原動力に、歩みを止めることはありません。
茂里社長の言葉の全てに、生産者に寄り添う姿勢が感じられます。
生産者をはじめ、地域の人との深いつながりを原動力に、歩みを止めることはありません。
椎茸を味わうきっかけとして、加工品を積極開発中
「茂里商店が有名になるのではなくて、椎茸の産地として豊後大野市や大分県を有名にしたい」と茂里社長。豊後大野市の椎茸を後世へ残すために今やるべきことは何か。その方法のひとつとして取り組んでいるのが、地元産の原木椎茸を贅沢に使った加工品の開発です。1年に最低でもひとつは新商品を開発することを続けています。生産者にも必ず試食をしてもらうそうで、「自分が育てた椎茸がこんな風に変身するんだ」と、新たな発見に喜んでくれるといいます。
2018年に野菜ソムリエ協会主催の調味料選手権にて審査員特別賞を受賞し全国テレビ放映され認知度が上がりました。他にも、もろみ、ドレッシング、ポン酢、カレー、意外なところではチョコレートなど、自社開発の加工品は現在10種類以上。原木の生椎茸や乾椎茸をふんだんに使用した加工品は、椎茸の魅力を知るきっかけとして着実に需要が増えています。
加工品のほとんどが、県内の醤油店や飲食店とのコラボによって生まれた商品。「私たちはおいしい椎茸を提供できますが、開発や製造は自社だけでは不可能です。お互いの得意分野を合わせることで、新たな一品が生まれています」。他の産品との組み合わせで生まれる“メイドイン大分”の一品は、空港、百貨店、道の駅など、ニーズにあわせてさまざまな場所で販売しています。大分土産の定番として知られる日もそう遠くないことでしょう。
万能椎茸だし
しいたけソース
うまみだけおおいた和牛極旨まぜごはんの素、豊後大野カレー
おおいた和牛の誕生から生まれた『おおいた乾しいたけと玉ねぎの無限ソース』
平成30年(2018年)、豊後牛誕生100年の節目に誕生したブランド牛『おおいた和牛』の登場をきっかけに開発したのが、『おおいた乾しいたけと玉ねぎの無限ソース』です。先に商品化していた『しいたけと玉ねぎのドレッシング』を改良。肉に合わせる調味料としては『椎茸かぼす塩』や『椎茸かぼすペッパー』がありましたが、さらなる消費拡大を目指してうまみだけ、おおいた和牛極旨まぜごはんのもとが開発されました。そのおいしさやこだわりが高く評価され、2023年3月に日本野菜ソムリエ協会主催の『第1回ドレッシング選手権』で銅賞を受賞。売れ行きも好調で、おおいた和牛とセットにしたギフト商品の考案など、他の大分名物との相乗効果もあらわれはじめています。
『おおいた乾しいたけと玉ねぎの無限ソース』
大分の椎茸は食卓の主役級!地元からおいしさを広げ、全国消費拡大へ
加工品は、原木椎茸のおいしさを知ってもらうひとつのきっかけ。目指すは原木椎茸そのものの魅力や価値を広め、消費拡大へつなげることです。椎茸嫌いな子どもも多いそうですが、「椎茸が食卓に並ぶことが日常になるのが理想。そのためには小さい頃から大分の椎茸に親しみ、おいしさを知ってほしい」と、地元の学校給食へ食材提供をおこなっています。工夫を凝らした料理は、椎茸嫌いの子どもたちにも好評だそうです。子どものときの「おいしい」の経験は大人になっても意識として残り、椎茸が食卓に並ぶ回数が増えるはずと期待を寄せています。
大分しいたけ食の伝道師、野菜ソムリエ、料理研究家など料理のプロが監修したオリジナルのレシピ集も発行していて、自社の加工品を使ったレシピが満載。豊後大野市産の椎茸は乾椎茸として流通することが多く、調理の手間がかかるというイメージを払拭する意味でも、手軽に作れる料理を紹介しています。
肉や魚に比べれば食卓の主役としての派手さはないけれど、うまみ、風味、食感など、唯一無二の魅力を持つ原木椎茸をもっと多くの人に知ってもらうために、全国椎茸商協理事や大分県椎茸商協理事長としての活動に加え、動画配信サイトの自社チャンネル開設など、ときには自身が広告塔となり業界全体を盛り上げるために活動する茂里社長。大分県産原木椎茸には無限の可能性があるため地元から大分県、そして全国へと、さらなる消費拡大を目指します。
「椎茸が食卓に並ぶことが日常になるのが理想。そのためには小さい頃から大分の椎茸に親しみ、おいしさを知ってほしい」
工夫を凝らした料理は、椎茸嫌いの子どもたちにも好評だそうです。
大分県産原木椎茸には無限の可能性があるため地元から大分県、そして全国へと、さらなる消費拡大を目指します。
株式会社茂里商店
PROFILE
- 設立年月
- 1950年4月1日
- 代表取締役
- 代表取締役 茂里剛
- 事業内容
- 椎茸(生・乾)の販売・製造、加工品製造・販売
CONTACT
- 住所
- 大分県豊後大野市大野町田中2370-1
- TEL
- 0974-34-2162
- FAX
- 0974-34-2108
- メール
- mori@mori-shouten.co.jp
- HP
- https://www.mori-shouten.co.jp/