パッキングケースのパイオニア
サスティナブルなものづくりで未来を包む。三隈工業株式会社 [ 大分県日田市 ]
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 - その他食品関連事業
 
1964年に創業した三隈工業は、ダンボール・プラスチックダンボールなど「物を運ぶ・守る」ための多彩なパッキングケースやパレットを製造・販売。九州で唯一の包装設計室を有し、設計から製造まで一貫して担えるのが大きな強み。2017年には九州で初めて国際的な森林認証制度「FSC認証」を取得するなど、環境に配慮した製品開発にも力を入れている。 現在は自動車業界に強いパイプを持っているが、「今後は食品業界にも対応の幅を広げながら、半導体や医薬品分野への参入も視野に入れたい」と意気込んでいる。
                                                        代表取締役社長 宮﨑信二さん
創業60年。地域に根ざし、進化を続けるものづくり企業
1964年創業の三隈工業は、ダンボール・プラスチックダンボール等のパッキングケースやパレットの開発・製造を手がけています。最大の特徴は、九州で唯一の包装設計室を有し、設計〜試作〜製造までを一貫して担えること。その体制により、お客様の想いをカタチにする柔軟な提案力と、リードタイムの短縮・コスト削減を両立しています。
現在はこの分野において地場トップの実績を誇る同社ですが、元々は木材チップの製造・販売を行う会社でした。
「木材チップはただ木材をカットするだけですから、生産性や意義を見出しにくかった。チップを使って何か新しい価値を生み出せないか…と模索した結果、行き着いたのがダンボールでした」。そう話すのは社長の宮﨑さん。まずは木箱が主流だった青果物や、日田の特産品であるソファを運ぶためのダンボールの提案からはじめたといいます。
その後、大手自動車メーカーの進出により北部九州が“自動車アイランド”と呼ばれるようになると、「ダンボールは埃が出るので精密機械には使いにくい」「使い捨てのためコストがかさむ」といった課題に応えるべく、再利用可能で埃も出にくいプラスチックダンボールの製造に着手。さらに、自動車メーカーとの関わりが深まる中で、自動車部品に使われるフェルト製品(吸音、緩衝材など)もラインナップに加えました。
現在は「ダンボール」「プラスチックダンボール」「フェルト」の3本柱を軸に、安定した事業基盤を築いています。
                                                                    
                                                                    
                                                                        三隈工業の事業の柱は「ダンボール」「プラスチックダンボール」「フェルト」。設計から製造まで一貫して対応できるのが強みです。
地場企業の強みを活かし、自動車業界に参入
三隈工業が自動車業界向けのプラスチックダンボールの製造をはじめたのは2010年。業界では決して早い方ではありません。しかし、現在では、ほとんどの大手自動車メーカーと取引実績を持つなど、強い信頼関係を築いています。なぜ後発でありながらシェアを広げ、定着できたのか。その背景には、地場企業ならではの迅速な提案力とコスト対応力があります。
「九州に進出した自動車メーカーは、最初、関東や東海地域の業者を使っていました。うちはそこに対抗するために、地場企業ならではの“距離の強み”をアピールしたんです」。
通常、包装設計は一度で決まることはなく、コストや強度などさまざまな要素を踏まえながら改良を重ねていく必要があります。そのため、遠方の業者では改善案の提示に10日〜15日と時間を要することも珍しくありません。
その点、“物理的な距離の近い”三隈工業であれば、時間もコストも大幅に削減可能。さらに、2022年、社内に九州唯一の包装設計室を新設したことでお客様の思いをカタチにした「安全で使いやすい」製品を、より正確に、より迅速に納品することができるように。
地場企業ならではのこのシステムは業界で高く評価され、事業は大きく安定したといいます。
                                                                        2022年、大分県の経営革新計画の承認を受けて包装設計室を新設。「距離の強み」に加え、提案力と対応力を兼ね備えた一貫体制を確立しました。
                                                                        軽くて丈夫なプラスチックダンボール製の通い箱。自動車部品の工場間輸送などで、繰り返し使用されます。
持続可能な未来のために。九州で唯一、森林認証制度「FSC認証」を取得
ダンボールは98%以上のリサイクル率を誇る、環境にやさしい素材の代表格。三隈工業では“廃棄しないものづくり”を掲げ、3R(リデュース・リユース・リサイクル)に積極的に取り組んでいます。
その一例が、2017年に取得した国際的な森林認証制度「FSC認証」。これは、適正に管理された森林から伐採された木材を原料とし、流通経路の管理・証明も求められる非常に厳格な制度です。
「現在、九州で取得しているのはうちだけです。維持には手間もコストもかかりますが、今の時代には不可欠な取り組みだと思っています。すでに大手メーカーの中には、FSC認証を持つ企業としか取引しない方針を打ち出しているところもあります」。
同社でFSC認証マークが付いたダンボールを希望するお客様の割合はまだ1割程度ですが、今後増えていくことが予想されています。
また、プラスチックダンボールなどのプラスチック製品についても回収・再利用の仕組みを整備。最終的に廃棄(焼却処分)せざるを得ない木製パレットは、ダンボールパレットや樹脂パレットへの置き換えを提案しています。
特にダンボールパレットは検疫不要で、輸出先でも気軽にリサイクルできるなど大きなメリットがあるといいます。
「ダンボールパレットは価格や強度面で木製と遜色なく、屋内で使うのであれば水への弱さも問題になりません。うまく使い分けることで、企業側に負担なく環境に配慮することができます。3Rについては今後も、地域の回収業者や処理業者などと連携しながら、持続的に進めていく予定です」。
こうした取り組みは直接利益を生むわけではありません。しかし、社会的意義が高く、三隈工業の価値や信頼性の向上につながっています。
食品業界にもさまざまな提案が可能
自社に包装設計室をもつ三隈工業の強みは、食品業界でも存分に発揮されています。輸送用ダンボールでは、安全性・保管性に配慮したオリジナル設計に加え、絵柄や色で視覚的にも訴求力のあるデザインの提案が可能。FSC認証マーク付きのダンボールを使えば企業イメージを向上させることもできます。
「価格だけでなく、全体のバランスを考えることが大切です。例えばデザインを工夫し、使いやすさを追求すれば、作業効率や生産性が上がり、結果、コストを下げることにつながります。私たちはお客様に“付加価値のある製品”を提案したいと考えています」。
ふるさと納税の化粧箱にFSC認証付きダンボールを使用してSDGsへの取り組みをPRしたり、工場間輸送に繰り返し使えるプラスチックダンボールやパレットを導入してコストを削減したり…。活用シーンは多岐にわたります。
さらに、同社は株式会社サンコーブラスチックの大分県唯一の一次代理店もしており、お菓子用ケースなど、小型容器のニーズにも柔軟に対応。パッキングケースでお悩みの方は一度相談すると “目からウロコ”の解決策が見つかるかもしれません。
                                                                        環境配慮・デザイン性・使いやすさ―。食品業界のニーズに応えるべく、「提案力」「技術力」を武器に挑戦を続ける宮﨑さん。まずはお気軽にご相談を。
「企業は人なり」誰もが生き生きと働ける環境づくりに注力
三隈工業には、毎年安定して新卒社員が入社しています。製造業といえばハードなイメージがあるなかで、なぜ若手が集まるのか。それは、人を育て、誰もがやりがいを持てる環境づくりに力を入れているからです。
「私たちは、入社前に“ここで何をしたいか”を必ず聞きます。やりたいことに挑戦できる、活躍の場があると感じれば、自然と熱意や意欲が湧いてくるからです。それは入社後も変わりません。社員同士でブレインストーミングを行い、仕事のやりがいや社会貢献について意見を交わしています。企業として利益を追求するのは当然ですが、それだけでは働く意義を見出すことはできませんから」。
月1回のゴミ拾いや、避難所で役立つダンボール製のベッド・間仕切りの事前準備を呼びかけ(日田市と防災協定を締結)など社会的意義の高い活動を通じ、社員は自分の仕事に誇りとやりがいを持って生き生きと働いています。
さらに、社内には匿名で意見を投稿できる「お気づき箱」を設置。寄せられた声は社員間で共有し、実際の改善につなげる仕組みも整えています。社員の声を活かす風通しのよい職場環境もまた、働く上での活力の源になっています。
                                                                        やりがいを持って働ける職場環境が意欲を高め、より良いものづくりの土台を築いています。
「今後は食品業界はもちろん、半導体や医薬品など多様な業界に積極的に挑戦していきたい」と話す宮﨑さんが特に注目しているのが半導体業界。九州に世界的な半導体工場が進出したこともあり、自社の技術や知見を活かせるフィールドを模索しています。
                                                                    三隈工業株式会社
PROFILE
- 設立年月
 - 1964年4月
 - 代表取締役
 - 宮﨑 信二
 - 事業内容
 - ダンボール事業部・プラスチックダンボール事業部・テナント事業部
 
CONTACT
- 住所
 - 本社/大分県日田市石井町2丁目581-1
 - TEL
 - 0973-23-6191
 - FAX
 - 0973-23-6193
 - HP
 - https://mikumakougyou.jp
 
            
