

本物を知る食のプロの技術で販路拡大を後押しする株式会社三洋産業 [ 大分県別府市 ]
- カテゴリ
- 茶•コーヒー•酒類飲料製造
- 調理冷凍食品
- 調味料
世界80ヵ国で展開しているコーヒー器具ブランド「CAFEC」、スペシャルティコーヒー専門店「YOUMECA」、四季の味を提供する料理店運営や冷凍グルメを製造する「百膳の夢」の3つの事業ブランドを展開。「本物のコーヒーで笑顔になってほしい」という思いを軸に、外食産業を支える企業としても成長を続けています。

代表取締役社長の中塚 茂次 さん
「その先にあるコーヒースマイルを!」を実現する多彩な取り組み
家庭でおいしいコーヒーを楽しむために欠かせない専用器具を製造する『株式会社三洋産業』では「CAFEC」のブランド名で、ペーパーフィルターやドリッパーといったオリジナル器具を続々と開発しています。今やコーヒーの楽しみ方のひとつとして身近なドリップバッグを広めたのも、実は三洋産業なんだそうです。
創業当初はインスタントコーヒーの取り扱いからスタートしましたが、おいしさに限界があると感じていた中塚茂次社長はあるとき、お茶のティーバッグを見て「コーヒーに代用できないか?」という思いを抱いたそうです。研究を重ねて誕生したコーヒーバッグ商品はギフトで人気が高まり、その後のドリップバッグのスタイルへと確立されました。同社の充填技術が広く周知され、現在は全国のカフェのPB商品など多くの製造委託を受け負っています。
“本物のおいしいコーヒー”への探究心は、焙煎士でもある中塚社長の強いこだわりから生まれるものです。「コーヒーは生鮮食品。焙煎から2週間がおいしさの期限です」と話す中塚社長は、本物を伝えるために、セミナーなどで独自のコーヒー理論を展開しています。その活動は海外にも広がり、業界の先駆者として多くのオファーを受けていて、世界中を飛び回っています。

世界中のコーヒーラバーや、専門家たちに大きな影響を与えている中塚社長。
自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供するカフェ『YOUMECA』は、家庭への本物のコーヒーの普及を目指してオープンしました。店名の由来は「You Me Cafe=あなたと私のカフェ(お店)」。人と人をつなぎ、笑顔になれる空間づくりができるコーヒーを提供したいという思いが込められています。20年ほど前に現在のYOUMECA本店(大阪府堺市)ではじまり、本社の隣にある別府店は、2025年でオープンから6年目を迎えます。「コーポレートメッセージの“その先にあるコーヒースマイルを!”の“その先”とは、家庭を指します。家庭で大切な家族や大事な仲間と最高のコーヒーを飲むことを当たり前にしたいんです」。コロナ禍以降は、自宅でもちょっと贅沢なコーヒーを楽しみたいと考える人が増え、コーヒー豆の売上も伸びたそう。店舗をオープンしたときの思いが、着実に浸透しはじめています。

YOUMECA別府店の店内。地域の人たちがくつろぎのひとときを楽しみに訪れます。

ドリッパー内側が花びらのような形をした「フラワードリッパー」シリーズは、家庭で本格コーヒーを淹れられる究極の形を追求。
飲食事業で見えた冷凍グルメの可能性
コロナ禍で需要を伸ばしたのは、コーヒーだけではありません。同社が手がける「食」の部門も注目を集めています。本社にあるセントラルキッチンでは、「シェフの味を家庭に届ける」というコンセプトのもと、高鮮度維持凍結機「プロトン」を使った冷凍グルメのほか、アイスクリーム、ドレッシング、スープなども製造しています。
セントラルキッチンを構えたきっかけは、百膳の夢で提供しているビーフシチューでした。オープン時から看板メニュー的な存在で、「世界で一番おいしいと思っています」と中塚社長も自信を持っておすすめする一品。より多くの人へ届けるために冷凍での販売を検討し、プロトン冷凍を導入しました。できたてのおいしさを再現できる高い冷凍技術によって、自慢の味を全国へ届けることが可能になりました。

名物ビーフシチューをはじめ、ストロガノフ、カレー、スープなど、オリジナル冷凍グルメを豊富にラインナップ。
県産品を使ったドレッシングが、「ドレッシング選手権」で“地域の味ベスト賞”を受賞
かぼす、椎茸、大葉、ねぎ、トマト、ひじき、温泉パプリカなど、さまざまな県産品を使うことで、大分県の魅力を発信する商品づくりにこだわっているドレッシング。そのひとつ、「ノンオイル大分県産かぼすと椎茸ドレッシング」が、2024年3 月に開催された日本野菜ソムリエ協会主催の「第2回ドレッシング選手権」で“地域の味ベスト賞”を受賞しました。椎茸のうまみをしっかりと引き出し、かぼす果汁を合わせた香り高い一品。ベースとなる醤油には、臼杵市の蔵元が醸造した生醤油を使っています。少しとろみがあるのが特長で、野菜などの食材にたっぷり絡めて味わえるように工夫されています。「とり天にも合うように」と、大分の郷土料理との相性も考えた商品です。

ドレッシングやポン酢など、消費者が手に取りやすい加工品で大分県の魅力を発信。
極小ロット専門のOEMで、世の中のためになることを
さまざまなNB商品を開発・製造するうちに、「私たちが困っていることは、世の中も困っているはずだと思ったんです」。ビーフシチューを冷凍グルメとして発売しようと考えたとき、OEMではロットが大きすぎて一度は断念。それならば自分たちで作ればいいと、自社でOEM事業を立ち上げた経緯がありました。「良い素材やアイデアを持っているのに、どう売ればいいかを模索している生産者や事業者はきっと多いはず」と考え、“あなたのお店のミニセントラルキッチンに”という考えのもと、企画、試作品づくり、製造、パッケージまでワンストップで、さらに小ロットでの商品開発をサポートしています。展示会では、「あなたが育てた野菜や果物を極小ロットで商品化しませんか?」というメッセージを掲げ出展したところ、多くの相談が集まったそうです。「うちはペーパーフィルターなどPBで成長させてもらった会社です。NBで有名になるのではなく、OEMで全国のみなさんを支えたいと思っています」と、大分県企業の発展のためのステージへと進んでいます。

“あなたのお店のミニセントラルキッチンに”という考えのもと、企画、試作品づくり、製造、パッケージまでワンストップで、さらに小ロットでの商品開発をサポートしています。
これまでに、ドレッシング、ソース、アイスクリーム、シーズニング、業務用ベースソースなど、製造実績多数。全行程でHACCPの考え方を取り入れた高い品質管理を徹底しています。工場内には360℃カメラを設置し、バーチャル見学も可能です。
店の味をそのままパッケージできる冷凍技術によって、「例えば後継者不足で途絶えてしまうかもしれない名店の味を、冷凍グルメという形で残せるかもしれません」と、唯一無二の味を後世へ伝える役割を果たしたいという思いも持っています。
「ペットフードの開発もしてみたいですね」と今後の展望を話してくれた中塚社長。世の中のニーズを的確にとらえながら、作り手に寄り添う商品づくりはこれからも続きます。

下処理室、冷凍食品製造室、アイスクリーム製造室など作業工程を細分化し、衛生管理も徹底した自社工場を完備。
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株式会社三洋産業
PROFILE
- 設立年月
- 1973年4月
- 代表取締役
- 代表取締役社長: 中塚 茂次
- 事業内容
- コーヒー関連器具製造事業、コーヒー関連充填製造事業、外食事業
CONTACT
- 住所
- 〒874-0921 大分県別府市富士見町7-2
- TEL
- 0977-25-3464
- FAX
- 0977-25-2210
- HP
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