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株式会社カスガ水産-文化を創ったマグロ船団 株式会社カスガ水産-文化を創ったマグロ船団

大分のマグロ食文化を支える株式会社 カスガ水産 [ 大分県津久見市 ]

  • カテゴリ
  • 水産食料品

“マグロの町”としても知られる大分県津久見市で、マグロを専門に扱う『カスガ水産』。漁師飯として有名な「ひゅうが丼」や「ねぎとろ」など、マグロ漁師としての経験や知識を活かし、素早く食卓に並べられる二次加工品の開発に力を注いでいます。

代表取締役 三木繁さん

代表取締役 三木繁さん

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小さな島の漁師たちから生まれた郷土料理

豊後水道の豊かな漁場に恵まれた大分県津久見市。最近では“マグロの町”としても知られ、ゴマやネギと甘辛い醤油タレで和えたマグロの切り身を、アツアツのご飯にのせた「ひゅうが丼」は、津久見を代表する郷土料理の1つになっています。

そんな津久見市の南東部に細く突き出た四浦半島の先に浮かんでいるのが、保戸島。周囲4km、面積0.86㎢の小さな島ですが、明治の中頃からマグロ漁が盛んに行われてきました。マグロ漁師の島として栄え、最盛期には約100隻ものマグロ漁船が在籍。「保戸島」は、日本一のマグロ船団として知られていました。時には赤道直下の海でも漁を行い、3ヵ月ほど航海を続ける漁師の胃袋を支え、力の元になってきたのが「ひゅうが丼」。過酷な漁の合間に手早く栄養が取れるようにと考案された、漁師飯でした。“手早く栄養を”と考えられたため、一般的な“マグロ漬け丼”とは違い醤油ダレには砂糖も。甘めの味付けになっています。

「ひゅうが丼」は、津久見を代表する郷土料理の1つになっています

「ひゅうが丼」は、津久見を代表する郷土料理の1つになっています

“マグロの町”津久見を支える存在に

『カスガ水産』の前身は、日本一と呼ばれた船団を支えたマグロ漁船。創業者の会長も、2代目の現社長も、マグロ漁師でした。「秋から正月にかけては近海の漁で、よく三陸沖に行っていました。当時、三陸沖のマグロは値段が良かったんですよ。その代わり、寒いし、毎日しけ。それでも釣るので、大変でしたね」と、三木繁社長。

しかし、保戸島の漁師がどれだけ過酷な漁をして、どれだけいいマグロを釣り上げても、水揚げされるのは関東や静岡などの大きな市場です。地元に持ち帰るのは、家族で食べるわずかな量だけ。船の上の漁師飯「ひゅうが丼」も、ほとんど知られていませんでした。『カスガ水産』が創業した平成4年ごろは、大分県内で日常的にマグロが食べられることはほとんどなく、津久見市内のスーパーにさえ、マグロの刺身が並んでいなかったのです。そんな状況の中、マグロ漁師でもあった創業者の会長が「地元でも、もっとおいしいマグロを食べてもらいたい!」と設立されたのが、マグロを専門に扱う『カスガ水産』でした。

しかし周囲は猛反対。地元で獲れる新鮮な白身や青身の魚が好まれていたため、「津久見の人からも、『大分でマグロなんか食べんよ』と、最初はすごく反対されていたみたいですね」と、三木社長。それでも、大分県内でマグロが出回っていないなら逆にそれがチャンスになると、冷凍マグロの加工や卸しをはじめました。

それから約30年、今や津久見は“マグロの町”に。『カスガ水産』の設立をきっかけにできたマグロ専門の料理店は、「マグロステーキ」が人気の一品になり、その味を求め県外からも多くの客が訪れています。甘いタレの「ひゅうが丼」は郷土料理に成長。今では津久見市内で「ひゅうが丼フェア」も行われ、多くの飲食店で「ひゅうが丼」を味わえるようになりました。

地元でも、もっとおいしいマグロを食べてもらいたい!」と設立された『カスガ水産』

地元でも、もっとおいしいマグロを食べてもらいたい!」と設立された『カスガ水産』

甘いタレの「ひゅうが丼」は郷土料理に成長

甘いタレの「ひゅうが丼」は郷土料理に成長

最新の冷凍技術で、素早く食卓でマグロを楽しめる商品を多数開発

そんな町の変化を支えてきたのが、『カスガ水産』。「地元、津久見と共に発展する」という思いの元、“ほんもの”を扱うことにこだわってきました。元漁師ですから、マグロに対する情熱や知識、目利きには自身があります。そして、「おいしく食べられるマグロを世に出す」という強い思いも。最新の冷凍技術を取り入れるのはもちろんですが、メインとなる刺身用の柵(さく)だけでなく、素早く食卓に並べられる二次加工品の開発にも力を注いできました。

その1つが、地元の醤油メーカーと共同で開発したオリジナルダレで作る「ひゅうが丼」の冷凍パック。現在では家庭用の商品だけでなく、数などをカスタムできる業務用商品も取り扱っており、サービスエリアやゴルフ場のレストランなどで人気が高いそうです。そしてもう1つ人気の加工品が、創業時から扱っている「ねぎとろ」

何度もねぎとろ工場に見学へ行き、当時の工場長はマグロ加工の本場、静岡に修行へ。カットの方法や配合などを習得した上で、独自の「カスガ水産のねぎとろ」を完成させました。「ネギトロは本当に評判がいいんですよ」と、三木社長も胸をはります。

最近では津久見市内でも本マグロの養殖が成功し、「ヨコヅーナ」というブランドマグロが生まれています。その加工を引き受けているのも、『カスガ水産』。普段は冷凍マグロの加工がメインですが、ヨコヅーナは1匹、生のままで届きます。それを刺身用の柵に加工して冷凍する際も、「よりおいしく食べてほしい」からと、特別なアルコール凍結を導入。柵を真空パックにして、-30℃のアルコールに入れて瞬間凍結させるため、細胞を壊さずに冷凍することができます。さらにこの方法で冷凍すると、解凍する際のドリップが少なくなるという効果も。旨みが濃いヨコヅーナの、そのままのおいしさを届けています。

「地元、津久見と共に発展する」という思いは、津久見市民のソウルフードでもある「太田のぎょろっけ」を守る取り組みにも発展。70年近く地元で愛されてきた、魚のすり身に野菜を加えたフライ「太田のぎょろっけ」を作っていた『太田商店』のレシピも、全て引き継ぎました。

現在は、直営店である『うみえーる・つくみんち』で揚げたてを購入できるだけでなく、冷凍の「太田のぎょろっけ」の全国販売も行っています。「マグロの町」を支える、マグロ専門の『カスガ水産』。今後は冷凍マグロの加工だけでなく、津久見生まれの本マグロの加工にも本格的に取り組んでいきたいと、意欲的です。

「ひゅうが丼」の冷凍パック、「ねぎとろ」

「ひゅうが丼」の冷凍パック、「ねぎとろ」

何度もねぎとろ工場に見学へ行き、当時の工場長はマグロ加工の本場、静岡に修行へ

何度もねぎとろ工場に見学へ行き、当時の工場長はマグロ加工の本場、静岡に修行へ

「カスガ水産のねぎとろ」

「カスガ水産のねぎとろ」

「太田のぎょろっけ」

「太田のぎょろっけ」

株式会社 カスガ水産

株式会社 カスガ水産

PROFILE

設立年月
1992年9月
代表取締役
三木 繁
事業内容
冷凍マグロ仕入加工販売

CONTACT

住所
大分県津久見市大字千怒6130番地-1
TEL
0972-82-8100
FAX
0972-82-8102
メール
maguro-kasuga@jasmine.ocn.ne.jp
HP
https://kasugasuisan.com/

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