挑戦し続けるECサイト運営の巧者大木化粧品株式会社 [ 大分県大分市 ]
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昭和23年、佐伯市にて化粧品卸業をスタート。親会社の倒産で経営危機に直面し、打開策として2004年ネットショップ「コスメボックス」を開設。開設4年後から楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを3度受賞するなどめざましい成長を遂げる。その手腕を見込まれ、2017年、大分県と管理運営委託業務契約を結び、楽天市場に大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」を出店。コロナ禍の巣ごもり需要にも後押しされ、急成長。 「変化をおそれず、挑戦し続けること。」をモットーに新規事業にも意欲的に挑戦している。
経営危機を経て、ECサイト運営で成長
化粧品の卸売業、自社ネットショップの運営に加え、大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」の運営を一手に担う大木化粧品株式会社。そのあゆみは波乱に満ちています。
「1990年に東京の大手化粧品卸会社と将来の合併を見据えて資本提携し、親会社になってもらったんですが…。10年後、私が社長に就任して2年目に親会社が経営危機に陥り、倒産したんです。周囲の協力を得てなんとか持ち直したものの売り上げは激減。苦境にたされました」そう話すのは3代目の小坂社長。打開策として主力取引銀行の若手チームから業態転換を提案され、2004年、ネットショップ「コスメボックス」を開設。トライ&エラーを繰り返しながら実績を積み重ね、4年後から楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを3度受賞するなどめざましい成長を遂げました。
1本のドラマが出来上がるほど波瀾万丈の数年を経て気づいたのは自分の甘さ。小坂社長は「苦境に追い込まれたのは親会社倒産のせいではなく、親会社は絶対安全だと思って守りに入っていたのが原因。変化を恐れず挑戦し続けなれば前に進めない。それに気づけたことは大きな財産だと思っています」と当時を振り返ります。
コスメボックス開設から2年後に株式会社大木(大木ヘルスケアホールディングス)と資本提携し、社名も大分化粧品から大木化粧品へ変更。大木の物流機能を利用することで販売体制も整ったそう。
楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー3度受賞は大分県最多。
大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」の運営に着手
大分県産品に目を向けるきっかけになったのは、物流拠点である自社倉庫の建て替えでした。「ネット通販のお客様は人口に比例するので圧倒的に首都圏が多い。化粧品メーカーも東京に集中していますから、東京で仕入れて、大分を経由して…だと効率が悪い。せっかく建て替えた大分の倉庫がハンデキャップになってしまうかもしれない。大分市中心部に位置する自社倉庫、という経営資源を“強み”として活かすために、大分県産品だけを扱うECサイトを立ち上げようと考えました。その準備中に大分県公式オンラインショップの管理運営委託のお話をいただいたんです。2017年だったかな」。
ECサイトの運営手腕を見込まれての委託依頼ではあったものの食品を扱うのははじめて。社員と試行錯誤しながら進めていったといいます。
コスメボックスのサイト運営に有利な首都圏に移るという選択肢もありましたが、大分を離れると苦しい時を共に乗り越え、ECサイトの飛躍を支えてくれた社員のほとんどがやめてしまうため、“大分に残る”と決めたそう。
2015年に建て替えた物流の拠点となる自社倉庫。
社長自ら生産者を訪ね、大分県の産品を発掘
コロナ禍の巣ごもり需要で飛躍的に売り上げを伸ばし、メディアにも数多く取り上げられた大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」。今なお成長し続けているのは、同サイトが“いいもの”を厳選しているからに他なりません。掲載にあたり、「①事業所が県内にあること、②原料の主なものが県産であること、③製造工程が一部だけでも県内にあること(このうち2つ以上に当てはまれば認定)」という基準を設けると共に、必ず社長自ら生産者の元へ足を運ぶというから驚かされます。
「850ヶ所くらい回ったかな。大分県には本当に素晴らしい産品があると実感しています。思いも強いし、熱意もすごい。でもご夫婦二人など小規模でやっていると、宣伝や販路開拓まで手が回らない場合がほとんど。ネットというツールを使ってPRのお手伝いできればと思っています。つくるプロ、売るプロ。それぞれ専念するのが一番いいんです」。親会社の倒産、その後の苦難を経験したからこそ人をみる目が養われたという小坂社長。現在も月に10件ほどのペースで生産者を訪ね、品質はもちろん、正直な商売をしているか、厳しい状況になったときにごまかすのではなく、真実を打ち明けてくれるような人柄か。そんなことを見極めるといいます。
公式オンラインショップには500以上の事業者、6000以上の商品が掲載されています。運営が軌道に乗ってからは紹介や申し込みも増えたそう。
同サイトでは大木化粧品オリジナルの天然温泉水「Beepuゆ」も掲載。実は飲める“本物の”温泉水はとても希少。芸能人に愛飲者がいるなど人気を集めています。
また、大木化粧品独自の集荷網もサイトの飛躍に一役買っています。「賞味期限のある商品の在庫を大量に抱えるのは難しい。でも小規模生産者さんの拠点は運送会社の定期便がない郡部の奥まった場所にあることも多いんです。そこで、県下各地に配送ルートを持つ複数の運送会社さんに、帰りの便でうちの商品を集荷してもらうよう依頼しました。ルートの近くだから帰りに寄ってね、という訳です」現在は、大分県内にまるで毛細血管のように張り巡らされた集荷網によって、どんな地域の商品も需要に応じて少数から確実に集荷できる画期的な集荷システムが構築されているといいます。
消費者はサイト内で豊富な品揃えの県産品を買い回ることが多く、「たまたま買ったけどすごく美味しかった!」等、お目当て以外の商品を知るきっかけにもなっています。
発信こそ力。大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」を通じて大分県を代表する産品やヒット商品が誕生する日も近いのかもしれません。
新たな挑戦で未来を拓く
前述した「挑戦し続けなれば前に進めない」という言葉通り、新規事業にも意欲的に取り組んでいます。その一つが2024年8月に発売したおんせん県おおいたのオンラインカタログギフト。「オンラインカタログギフトって非常にメリットが大きいんですよ。カタログの印刷代が不要なのでその分金額に還元できるし、商品の差し替えも簡単。購入する人もほしいものがほしいタイミングで簡単に手に入る。県外の人に送れば大分県の魅力的な産品を知ってもらうきっかけになる。これからどんどん広まっていくと思います」。オンラインカタログギフトは小坂社長の長男で、企画室長の啓祐さんが主軸となって運営しており、会社の次期成長戦略の柱になっています。
他にも、忙しい現代人のライフスタイに合わせた手軽な簡単なミールキットの開発(2024年2月発売)、県産品事業者へのマーケティングデータ有償販売(2025年1月頃開始予定)など、アイデアが尽きることはありません。
オンラインギフトは現在3,000円、5,000円、10,000円の3種類。カードの裏のQRコードを読み込むとカタログへ飛ぶことができます。
最後に「お天道様ってね、ちゃんと私たちを見てくれていると思うんですよ。でも地球上には80億人もいるからいつも見てくれているわけではない。たまたま見てくれている時にサボっていたらあーこいつダメだなってそっぽを向かれるし、それではチャンスは巡ってこない。私自身はすぐにサボっちゃう人間ですが幸いにも当社には私と違って優秀なスタッフが沢山いるので、お天道様から幸運の粉をかけてもらえるよう、スタッフと一緒にこれからもチャレンジしていきたいです」と話してくれた小坂社長。今後も常に前傾姿勢、全力疾走を貫き、あっと驚くアイデアで大分を盛り上げてくれそうです。
大木化粧品株式会社
PROFILE
- 設立年月
- 昭和23年創業、2月設立
- 代表取締役
- 小坂 越司
- 事業内容
- 大分県公式「おんせん県おおいたオンラインショップ」運営、ネットショップ「コスメボックス」運営、化粧品、装粧品、石鹸洗剤、日用雑貨、美容機器の卸・小売
CONTACT
- 住所
- 大分市大道町5-1-10
- TEL
- 097-543-0194
- FAX
- 097-546-6366